日本から密搬入された浮石寺(プソクサ)の仏像に関連した劉震竜(ユ・ジンリョン)文化体育観光部長官の発言が議論を起こしている。
27日に日本の下村博文文部科学相と会った劉長官が
「浮石寺の観世音菩薩坐像を日本に返還する」と明らかにしたというのが日本のメディアが伝える内容だ。
このような報道に怨み声があふれた。
「文化体育観光部長官が倭寇に略奪された文化財をどうして返すというのか」という批判論が優勢だ。
波紋が大きくなると劉長官は28日に発言の真意が歪曲されたと釈明した。
「合理的で理性的に国際規約を順守しなければならないという点を再確認したもの」という説明だった。
問題の仏像は1330年ごろに作られ浮石寺に安置され、対馬の観音寺に移されていたものだった。
流出経路ははっきりしないが、1370年ごろこの地域に出没した倭寇が強奪して行ったものと推定される。
この仏像を昨年10月に韓国人窃盗犯が盗み出した後、韓国に搬入して発覚した。
日本側はすぐに返還するよう騒いでいる。韓国ではもともと韓国所有だったものをなぜ返すのかとの反発が強い。
2月に大田(テジョン)地裁は、「日本が正当に持ち出したという証拠がない限り返してはならない」とし、
仏像返還を防いでほしいという浮石寺の仮処分申し立てを認めた。
こうした状況で日本メディアの報道通りに劉長官が性急に仏像返還を約束したとすればこれは間違いだ。
韓国の司法の判断を長官が予断するものではないか。
しかしいくら流出文化財でもこうした形で還収するのが正しいのかは落ち着いて考えなければならない。
略奪されたものだから窃盗行為の盗品として戻ってきてもいいという考え方はグローバルな視点から見て潔くも穏当でもない。
文化財返還と関連しては1970年にユネスコで決議された「文化財不法搬出入と所有権譲渡禁止と予防に関する協約」が最も代表的な国際条約だ。
この条約は所在国の公式許可なく文化財を持ち出せば不法搬出と規定している。
問題はこの協約が遡及適用を禁じているというところにある。
くやしいがこの原則を適用する場合、浮石寺の仏像は不法搬出と見なされ日本に返すのが正しい。
留意すべき点は、仏像返還時に強奪文化財を還収する契機になれるという点だ。
そうするためには国際規範により対応することが必須だ。日本の良心にも訴える契機を作ることができる。
国立文化財研究所によると現在海外流出文化財は15万点に達する。このうち6万6000点余りが日本にあるという。
日本も強奪した韓国の文化財を最初から戻さないというのではない。
2010年に朝鮮王室儀軌をはじめとする1200点を返還したことがある。
韓国の文化財返還を本格化する状況で仏像1点点にあまりに執着するのは望ましくない。
時間がかかっても理性的で合法的な方式に従うのが潔く正しく返還される道だ。短い実利と長い国益の間の選択だ。
(中央SUNDAY第342号)
ソース 中央日報 2013年09月29日13時24分
http://japanese.joins.com/article/599/176599.html