中国企業は海外進出への意欲が世界で最も強いとされる。経営コンサルティング会社、アクセンチュアの最新調査では、
中国企業の海外進出の規模は10年前の20倍に相当することが分かった。
中国企業の37%はグローバル化を加速させており、1万3500社の中国本土企業が177の国・地域で1万8000社の海外支社を設立、
対外直接投資額は累計4247億8000万米ドル(約43兆5000億円)に上る。海外にある企業の資産総額は2兆ドル近い。
ただ、中国企業は海外投資額が大きいものの利益が少ないという。
アクセンチュアの楊イ氏は「中国企業のグローバル化は低水準。過去3年間で国際市場での収益や利益が予想を超えたのは37%にとどまっている」と説明した。
アクセンチュアの報告書は中国企業による海外での企業M&A(合併・買収)の最大の難題について、
「規模は大きいものの、力が強くないこと」と指摘した。5つの難題が中国企業の海外進出を阻んでいるという。
問題の1つ目は、戦略的苦境だ。多くの企業がグローバル化のためにグローバル化を推し進め、海外市場や顧客への理解が足りず、
政府や政策など海外市場の複雑性に対応できていない。2つ目は、実行が難しいこと。
中国企業で海外戦略の実行力を備えていると認識する企業はわずか43%だ。海外市場において多数の中国企業は細かい手段に欠けている。
そして3つ目は、管理が難しいこと。権利が集中した管理方式は単純かつ粗放だ。グローバル化に向けてITシステムを構築した中国企業は29%に過ぎず、
グローバル化の正しいプロセスを認識する企業は38%のみだった。4つ目は、人材不足。
中国企業は多元的で包括的な人材管理メカニズムに欠けており、グローバル化した管理人材の欠如や海外人材の調達が難しいことが最大のボトルネックとなった。
5つ目は、価値観の違い。文化融合がM&A後の大きな難題だ。
これまで中国企業は欧米企業の海外進出の過程に注目してきたが、実際、アジアでは日本の海外進出が最も早い。
日本のグローバル化はそれほど成功していないか、または成功を収めた企業は多くないといえる。韓国は近年、グローバル化が急速に進んだ。
韓国の文化は中国に近づいており、中国はそこから経験や教訓を汲み取る必要がある。
ユニクロを展開する日本のファーストリテイリングはよい手本だ。楊イ氏は「中国市場だけを見てもユニクロの本土化の成功の様子が分かる。
米国のアパレルブランド、Gapと比較して低価格のユニクロは中国市場にふさわしい。ユニクロはまた、日本企業の核心的な価値観を保っている」と指摘した。
ユニクロの店舗は全世界に広がっている。東京、上海やニューヨークでユニクロの店に入ると、
きれいな店内、整然と並ぶ商品、笑顔の店員が印象的だ。標準化が成功の鍵となっている。
ユニクロでは英語が社内公用語化され、海外で3000店舗を出店する計画を発表。海外の社員に日本と同じレベルの賃金を支給するなど、
ここ数年、グローバル化に向けてさまざまな工夫をしている。海外の社員にも昇進のチャンスを与えることは、海外人材をひきつける重要な用途となる。
アクセンチュアでは、「企業にとっても海外M&Aの成功は難しいことではないが、再編や価値の創造は難しい。文化の違いへの対応、
海外事業の再編、組織構造や職責の明確化が、M&Aの成功にとって極めて重要だ」と強調している。
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