国家情報院で北朝鮮に対する心理戦、情報収集を担当していた心理情報局が廃止された。
昨年の韓国大統領選直前に浮上した「国家情報院女性職員ネット発言事件」の影響だ。
一般人に知られることがなかった対北朝鮮心理戦担当部門の実態が明らかになった以上、
国家情報院としては部署の廃止は避けられなかったはずだ。
今回の事件が選挙への介入行為だったのか、国家情報院による正常な情報業務の範囲だったのかについては、検察が調べを進めている。
今回のことで、北朝鮮の対南心理戦担当者は快哉(かいさい)を叫んでいるはずだ。
北朝鮮は韓国の放送局や金融機関のインターネットをまひさせるほど膨大な数のハッカーと心理戦要員を要請してきたという。
外部とは断絶されている北朝鮮のインターネットに韓国のハッカーや心理戦要員が食い込む余地は少ない。
一方、韓国には北朝鮮がその気になれば北朝鮮から加入し、活動できるサイトが数多く存在する。
国家情報院の職員は「きょうのユーモア」というサイトで対北朝鮮心理戦を展開してきた。
外見上はユーモア同好会と言えるこのサイトでも、身分を隠した北朝鮮の対南心理戦要員が活動していた可能性は十分にある。
最近は情報機関の要員だけが自分の正体を隠しているわけではない。
ツイッターでも「セカンドアカウント」と呼ばれる偽名のアカウントを複数つくり、
中傷、悪口を言ったり、わいせつな内容を書き込んだりする人がいる。
ここでは過激な政治的傾向を示す人もいる。ツイッターではいくらでも偽名のアカウントをつくることができるため、
北朝鮮が対南心理戦でそれを使わないはずはない。インターネットで仮名や匿名で「暗躍」しても、それ自体を制裁する方法はない。
インターネットの掲示板に書き込む際に実名確認を求めるインターネット実名制(制限的本人確認制)には昨年8月、違憲判決が下された。
悪質な書き込みによる芸能人の自殺などが論議を呼んで導入された制度だが、
憲法裁は実名制導入で違法な情報が減少したという証拠はないとする一方、ユーザーが身分の露見による被害を懸念し、
表現の自由が制約されるとして、違憲と判断した。
このため、暴言を吐く人だけでなく、北朝鮮の対南心理戦要員や親北朝鮮サイトのメンバーも、北朝鮮では夢でもあり得ない表現の自由を韓国で享受している。
今彼らの仮面をはぐ方法は、非合法的な手段しか残されていないようだ。
先ごろ、国際的なハッカー組織「アノニマス」の韓国支部は親北朝鮮サイトをハッキングし、メンバーの実名を公開した。
自分たちの正体は明かさず、他人の仮面をはいだアノニマスの戦略はかなり有効だ。
自分たちがアノニマス(匿名)でありながら、匿名で存在する他者を攻撃する点で風刺的でさえある。
ハッキング以降、ある左派系メディア系雑誌はアノニマスの暴露について「なぜ実名じゃなきゃいけないのか」
といらだち交じりの記事を掲載した。それだけ実名が明らかになると都合が悪い人は多かったということだ。
しかし、実名と匿名の争いで匿名が勝つというのは、正常とは言えないはずだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130512-00000212-chosun-kr