四川地震発生から約1週間後のこと。甚大な被害に見舞われた宝興県での取材を終えて車で宿に戻る途中、
遼寧省から来たという大学生ボランティアの男女がヒッチハイクしていた。
「たった今、詐欺師を警察に突きだしてきた」と2人は車に乗った途端、興奮気味に話し始めた。
3日ほど前、救援物資を配る現場で軍服を着た男が「君たちを指導する」と勝手に合流し、行動をともにした。
北京から派遣された救援部隊の26歳の中尉と自称していたが、救助活動にあまり興味はなく、大学生の親の
年収を聞き回り「いくらか支払ってくれたら軍系の大学に推薦してやる」「軍に入隊したいなら俺に言え」といった
話ばかりをしていた。同じころ寝泊まりしているテントで金品がなくなることが増えた。
インターネットで調べたら男が着ていた軍服は正規のものではないことが分かり、武装警察の協力で取り押さえた
という。男の身柄を引き取った地元警察によれば、地震後1週間だけで、捕まった偽軍人は少なくとも4人。
被災地に集まるボランティアの若者たちが狙われ、結婚詐欺に遭った女性もいるという。
共産党政権が進めた富国強兵路線で、特権階級の軍人に憧れる若者が増えたことが、偽軍人詐欺師急増の
背景にありそうだ。(矢板明夫)
msn産経ニュース: 2013.5.9 03:14
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130509/chn13050903150001-n1.htm