「副作用のない百パーセントクリーン(幻覚)旅行!
夢と現実世界を行ったり来たり、魔法のじゅうたんに乗って飛び回る快感を体験できます」
韓国で「合法麻薬」が幅を利かせている。
インターネット・ポータル・サイトで「合法エックス(エクスタシー)」や「合法麻薬」などの用語で検索をかければ、
宣伝文句などが数百件ヒットする。
これには「これらの合法麻薬に使用されている化学物質は麻薬や有害化学物質として登録されておらず、
取り締まりの対象にならない」ことが紹介されている。
購入者たちは「この世の全てを自分のものにした感覚! 悩みを忘れ、一晩中楽しませていただきました」
「副作用がなく、翌日もスッキリと迎えられるため、安心してください」といった感想を残している。
一時麻薬の代用品として社会問題を引き起こした「ルミナル」のような薬は、向精神性医薬品に分類され、
取り締まりの対象となっているが、最近ブームを呼んでいる「合法麻薬」は薬品として分類されておらず、
「ハーブ」などと偽って輸入されるケースも多い。
こうした「合法麻薬」はデザイナードラッグ(合成麻薬)と呼ばれている。
デザイナードラッグを販売するインターネットサイトでは、
コカイン合成物(Cok-N)、催淫剤(popper)など約30種類が人気を呼んでおり、
100グラム当たり10万−20万ウォン(約8600−1万7200円)で取引されている。
あるデザイナードラッグの販売サイトでは、今年2月27日からの1週間で実に110に上る書き込みがあった。
そのほとんどは、無事に商品を受け取ったことを伝える内容だった。正確な統計こそないものの、
デザイナードラッグが法律の網をくぐり抜け、韓国国内で大量に流通していることが分かる。
製品の説明欄には「服用後2時間もすれば気分が絶頂に達し、隣の人とパーティーを楽しむことができます。
コーヒーやワインに混ぜてお召し上がりください」と書かれている。
デザイナードラッグのサイトの関係者は、電話インタビューで「本や郵便物でカムフラージュするため、
通関で引っ掛かることはない。韓国で法的に処罰されない合法製品もあるため、そちらを注文することをお勧めする」
と説明した。
関税庁では、通関過程で麻薬の疑いが持たれる品物を差し押さえた後、配送者に送り返すものの、
これらの品物を販売し流通させた人を処罰するのは困難だ。
現行の薬事法では医薬品のインターネット取引は禁止されているものの、
デザイナードラッグは医薬品には当たらないとされているためだ。
食品医薬品安全庁(食薬庁)は、新たに発見された幻覚物質を「臨時麻薬類」と指定し、管理している。
しかし、臨時麻薬として指定する前に新種の物質が次から次へと登場してしまうため、対応が追い付かないのが現状だ。
Aという製品を臨時麻薬類として指定する手続きを行っている間に、B、Cなどの新たな製品が市場に出回ってしまうのだ。
本紙が確認した結果、デザイナードラッグの販売サイトの「売れ行きベスト5」のうち四つは、
国内で臨時麻薬類として登録されていないものだった。
食薬庁のカン・ホイル薬理研究課長は今年3月18日「ここ1、2年の間に化学会社を装った外資系の会社が合成薬品を販売している。
1カ月に一つずつ新しい化学構造を持った麻薬が登場しているため、麻薬類として速やかに指定するのは困難な状況」
と厳しい表情を見せた。
専門家たちは、デザイナードラッグが急性心臓まひや筋肉まひ、嘔吐(おうと)など人体に相当な副作用をもたらす、と主張する。
実際に昨年6月、英国のエディンバラでは20代の男性が祭りでデザイナードラッグを服用し、急死した。
江南乙支病院のチョ・ソンナム院長は「デザイナードラッグというのは、
結局はこれまでの麻薬に似た幻覚作用を引き起こさせるために人為的に化学構造を変えたものだ。
中毒や禁断症状もこれまでの麻薬と似ていて『1回くらいは大丈夫だろう』と軽い気持ちで服用しても、
その後はやめられなくなってしまう」と警告する。
警察大学のイ・ウンヒョク教授は「管理当局は臨時麻薬類のリストを手広く修正し、
全ての幻覚物質の取引は『違法』であることを周知すべきだ」と話す。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/03/2013050300409.html http://www.chosunonline.com/site/data/img_dir/2013/05/03/2013050300329_0.jpg