【成都=矢板明夫】中国四川省雅安市で20日に起きた大地震で、
国内最大の公益組織である中国赤十字への寄付金がなかなか集まらないことに関心が集まっている。
これまでの災害などで集めた義援金の使われ方が不透明なうえ、金銭に絡むスキャンダルが最近、多発。
中国赤十字への不信感が、国民の間に高まっていることが背景にありそうだ。
震災発生から5日目の24日午前、四川省成都市中心部の広場に、
大地震のための中国赤十字の募金コーナーが設けられたが、足を止める通行人はほとんどいなかった。
5年前の同省●(=さんずいに文)川での大地震の後にも、同じ場所で同じようなコーナーが設置されたが、
当時は行列ができるほど熱気にあふれていた。
中国紙、毎日経済新聞(電子版)によれば、震災発生日の20日の夜までに、
中国赤十字に集まった募金総額は14万元(約225万円)。
これに対し、俳優の李連傑(ジェット・リー)さんが主導する民間有志の慈善組織、「壱基金」には
その160倍に当たる2240万元(約3億6千万円)が集まった。
中国赤十字への中国国民の不信感は、5年前の大地震の後から強まった。
当時、国内外から巨額な募金が集まったが、その使い道についての説明が曖昧だったことがメディアに指摘され、国民の不満が高まった。
2011年2月、中国赤十字上海支社の関係者十数人が1回の食事で、
農民工家庭の1年間の生活費にあたる約1万元(約16万円)の公費を使ったことがメディアに伝えられ、批判された。
その約3カ月後、赤十字傘下の企業幹部と自称する若い女性がインターネットで自分の別荘、
高級外国製自動車、ブランドバッグの写真を公開。“セレブぶり”を自慢したことが話題となり、
「私たちが出した寄付金は彼女のぜいたくざんまいに消えているのか」といったネットユーザーの怒りの声が殺到した。
「彼女とは無関係だ」と中国赤十字は何度も釈明したが、信用してもらえず、それ以降、寄付金が急速に減少したという。
一方で、壱基金や、台湾の仏教系組織、「慈済」など知名度が高く政府の色がない慈善団体への寄付が増えたという。
雅安大地震のための募金で、「私たちの活動は中国赤十字と一切関係ありません」と募金箱にわざわざ“断り”を入れるところも現れたという。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130424/chn13042422360010-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/world/news/130424/chn13042422360010-n2.htm