ソウル中央地検公安2部は7日、中国で北朝鮮のハッカーと接触した上で、韓国人の個人情報を大量に流出させ、北朝鮮の
外貨獲得を支援して収益を上げたC容疑者(28)を国家保安法違反などの疑いで起訴し、共犯の容疑者2人を在宅起訴した
ことを明らかにした。
捜査過程で捜査当局が入手したC容疑者のパソコンからは、韓国国民の個人情報1億4000万件が発見された。捜査当局は
C容疑者が情報を北朝鮮と共有した可能性が高いとみている。C容疑者は北朝鮮側と資金、情報、コンピューターのプログラム
などをやりとりしており、C容疑者が保有する個人情報のうち、約1000件は北朝鮮の国家安全保衛部の工作員リ・ホナム氏、
北朝鮮のハッカー「シン室長」から2011年に渡されたものだったことが明らかになっている。
捜査関係者は「1億4000万件の個人情報は、デパート、ガソリンスタンド、ショッピングモールなどのウェブサイトをハッキングして
入手したものと違法取引業者から得たもので、この情報が北朝鮮に渡ったとすれば、北朝鮮はパソコンを使用する韓国国民の
相当数の個人情報を保有していることになる」と指摘した。
C容疑者は07年から北朝鮮の朝鮮労働党傘下の「綾羅島情報センター」に所属するハッカーや国家安全保衛部の工作員と
接触し、ハッカーが開発したスパムメール送信プログラムや韓国の賭博サイト操作プログラムなどを受け取り、それで稼いだ資金を
北朝鮮側と共有した疑い。C容疑者はまた、北朝鮮のハッカーの支援を受け、韓国のウェブサイト6万8000件の管理権限を保有
しており、これらサイトに管理者として接続し、不法な成人向けサイトの広告を掲載するなどして、資金を稼いでいたことが判明した。
C容疑者が保有していた個人情報には、IDやパスワード、電子メールアドレス、住民登録番号、住所などが含まれていた。
C容疑者は情報を「経済・金融」「教育・外国語」といった13のカテゴリーに分け、83の下位グループで体系的に分類、保管し、
さまざまな目的で活用した。こうして流出した個人情報は、北朝鮮によるインターネット世論操作やサイバーテロに利用されてきた。
北朝鮮関連ニュースメディア「ニューフォーカス」の代表で、対南工作機関である労働党統一戦線部に勤めていた経歴がある
チャン・ジンソン氏は「北朝鮮は03年に既に韓国の住民登録番号情報を30万件保有し、インターネット上の書き込みで心理戦を
展開していた。『北朝鮮の核兵器は統一すればわが民族のものだ』『米軍基地の平沢移転は戦争準備だ』などといった論理を広め
ようとしていたことを思い出す」と証言した。北朝鮮は入手した個人情報を盗用し、韓国の主なウェブサイトにユーザー登録した上で、
北朝鮮の主張に同調する投稿を行い、主張を広めていたことになる。
公安当局によると、10年3月の哨戒艦「天安」爆沈事件の直後にも、北朝鮮は韓国のネットユーザーの個人情報を盗用し「天安
事件は捏造(ねつぞう)だ」という主張を韓国のインターネットサイトに広めた。韓国政府関係者は「北朝鮮は韓国の国民全ての
個人情報を確保しているとみても過言ではない」と指摘した。
北朝鮮はハッキングで収集した個人情報を、フィッシング詐欺など電話詐欺を行う中国、台湾の犯罪組織にも売却していることが
捜査当局の調べで判明している。
李竜洙(イ・ヨンス)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版: 2013/04/08 10:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/04/08/2013040800852.html