日中、日韓関係の冷え込みにもかかわらず、訪日外国人数が復調している。2012年の推計は、全国が約837万人と過去2番目に多い。
九州は約115万人と、10年に記録した過去最高(約100万人)を更新する見通しだ。
九州の復調ぶりが著しいのは、アジアと結ぶ交通アクセスの増強などが寄与したもので、歓迎すべき傾向である。
アジア各国・地域では、中間層の増加を背景に海外旅行ブームが加速する見込みだ。
官民一体となった九州全体の観光戦略や情報発信で、外国人観光客のさらなる増加につなげていきたい。
観光はサービス業や農業への波及効果が大きく、地域戦略に欠かせない。中でも重要なのが外国人観光客だ。
1人当たり消費支出額が大きく、最近の円安を追い風とした商機の拡大にも結びつく。
集客の意義は単なる経済効果にとどまらない。美しい景観や住民の国際感覚など地域のブランドや総合力を磨く上で、異文化との触れ合いは貴重な刺激になる。
中国や韓国との活発な人的交流は、政治摩擦を地方から和らげる効果もある。
人口減少が進む九州にとって、外国人観光客を通じた「アジアの活力」の取り込みは、まさに必須の課題と言えよう。
九州への外国人観光客誘致に何が必要か。12年の取り組みにヒントがある。政治摩擦に伴う客足鈍化をカバーしたのは、海や空の交通アクセスだ。
長崎県・対馬と韓国・釜山を結ぶ高速船の運航増加、台湾−福岡間の空路の就航倍増、アジアと結ぶ格安航空会社(LCC)の相次ぐ就航などが、集客を押し上げた。
昨年の秋口以降キャンセルが相次いだ外国クルーズ船の寄港も、九州全体では過去最高の約200回を数えた。
あらためて認識したいのは、旅客輸送システムの増強や港湾機能の重要性だ。アジアからの「足」の確保は需要の喚起に確かな成果を挙げている。
福岡市など国際会議の開催都市では、誘致強化に向けた大規模会議場の整備も急がれる。
こうしたハード面に加え、ソフト面の受け入れ態勢にも知恵を絞りたい。
まず、将来性を秘めたクルーズ船では、乗客の入国審査時間の短縮や、船と観光バスとの効果的な接続が急務だ。
九州7県と福岡市が申請していた「九州アジア観光アイランド総合特区」が国の指定を受けた。
九州域内での通訳ガイド活動をしやすくする規制緩和など、特区指定の効果を存分に発揮してほしい。
英語や韓国、中国語の多言語サービスは福岡市などで整備が進むものの、九州全体ではまだ物足りない。
外国人が気軽に九州を周遊できる環境はどこまで整っているか。そんな視点で域内の観光地や宿泊施設、交通網を見直してみたい。
海外への情報提供も工夫の余地がある。例えばインターネットでの多言語案内を充実させ、留学生に母国へ情報発信してもらう−。
九州一体で取り組むことが「九州ファン」の開拓につながる。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/348630 【国内】九州全土、「アジア観光特区」に指定-中韓留学生の通訳要件緩和などを日本政府に提案[02/16]
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1360976373/