観光需要を掘り起こし、交流人口の拡大につなげたい。
新潟空港では初となる台湾との定期チャーター便が就航した。台湾のエバー航空が、新潟と台北の桃園国際空港間を週2往復で運航する。
新潟空港発着の国際便が新規就航するのは中国・上海とハルビン、グアムなどの路線開設が相次いだ1998年以来、15年ぶりだ。
新潟と台湾は空路3時間の距離で直結される。当面、3月までの予定だが、4月以降も継続でき、通年運航になるよう利用者を増やしていく必要があろう。
親日的な台湾は、人口約2300万人のうち年間100万人以上が観光で来日している。
本県でも外国人宿泊者数の2割前後を台湾からの人で占め、2010、11年度は韓国を上回ってトップだった。佐渡観光の人気が高く、佐渡宿泊は台湾の人が5割を超える。
これまでも台湾との不定期チャーター便は飛んでいた。東日本大震災や福島第1原発事故などで、本県への外国人観光客が落ち込む中、台湾からは比較的堅調だった。
こうした経緯から、本県は数年来、台湾に訪問団を派遣するなど、定期便就航を働き掛けてきた。活動が実を結んだといえよう。
11年秋に、日台の航空自由化協定が締結された。台湾の航空会社が日本の地方空港に目を向けるようになったことも後押しになった。
温暖な台湾では雪や温泉への関心が高い。日本への観光誘客は北海道などが先行していた。
雪に魅力があるなら、本県の観光資源は十分に生かせる。冬のスキーツアーを中心に、湯沢町などへの団体客も多かった。
これに加えて、日本酒やコシヒカリなど豊かな食を知ってもらえれば、さらに集客増が見込めよう。
台湾で新潟の認知度を上げることはもちろん、リピーターを増やすため、官民が連携し受け入れ態勢を強化しなければならない。
定期便の継続には、双方向で親交を深めることが欠かせない。台湾には、足を運んでみたい名所、スポットは数多い。
台北のにぎやかな夜市、国立故宮博物院、孔子廟、南部の高雄には美しい人造湖の澄清湖など、自然と歴史とレジャーが満喫できる多彩なエリアがあるのだ。
99年に大地震で中山間地に被害を受けた台湾は、中越地震や東日本大震災の支援にいち早く動いた。
台湾の高速鉄道は、同じ地震国である日本の車両技術を導入しており、何かと縁が深い。
新たなビジネス展開も期待できる。県内からも台湾には化学工業、工作機械メーカーが進出している。
日本の企業が台湾企業と組んで、中国本土へ進出するケースも増えているという。
国家間にはさまざまな課題が横たわるが、経済や文化交流に国境はないはずである。
今回の台湾線就航を、新潟空港が対岸への玄関口として存在感を示す好機にしたい。
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