【朝鮮日報・社説】清渓川孤立騒動に見る韓国の成熟度[10/12]

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 11日付の韓国紙にある写真が掲載された。10日昼間に降った豪雨のため、ソウル市内の清渓川で孤立した市民たちが、
濁流の噴き出す水門の横でズボンの裾をまくり、途方に暮れている写真だった。堤防の壁をよじ登って清渓川から脱出しよう
とする市民もいた。ソウル市は10日、雨が降り始めると、堤防のスピーカーから避難の案内放送を行った。安全要員も笛を
吹いて誘導した。しかし、清渓川に架かる橋の下には、雨宿りをしようと多くの市民が集まり、避難の案内放送を無視した。
安全要員に向かって「雨がこんなに降っているのに、あんただったら橋の外に出ていきたいか」と腹を立てた市民もいた。案内
放送を聞いていなかった市民もいた。そうしているうちに、清渓川に249ある水門が開いて見る見るうちに水が増し、遅まき
ながら避難騒ぎが起きた。水門から噴き出す水に行く手を遮られ、進むことも退くこともできなくなった13人は消防隊に通報し、
およそ30分後に救助された。

 雨が降ると、清渓川は雨水が一挙に流れ込む構造になっている。このためソウル市は、清渓川の各水門を、時間差を
付けて開閉し、急激な増水を防ぐ方法を研究する必要がある。案内放送がよく聞こえるようスピーカーの音量も大きくし、
非常時に備えて簡便な避難用はしごを設置するのも一手だ。

 清渓川で起こったハプニングは、韓国社会の問題点を圧縮して示した。市民の安全を確保するには、国も自らの任務を
果たすべきだが、市民も自分のすべきことをしなければならない。キャンプが禁止された場所でキャンプをして事故に遭ったり、
水深があるため泳いではいけないという警告表示を無視して命の危機に直面するケースもある。それでいて「政府が間違って
いる」とののしる人は少なくない。

 農政当局は2009年から、牛の飼育頭数が適正水準を超えているとして過剰飼育を警告していたが、農民たちは警告に
耳を貸さなかった。そのため今年初めには、牛の価値が1頭1万ウォン(約700円)台にまで暴落する事態になった。すると
一部の畜産農家は、韓国政府が買い入れることを要求し、牛を連れてソウルに集まる「上京デモ」を試みた。

 国は国民に対し、各個人の行動がいかなる結果をもたらすかについて、警告・説得・勧誘・指導する責任がある。国が
その任務をおろそかにしたのなら非難されるべきだ。しかし、国がすべきことをしたにもかかわらず、個人がすべきことせず被害が
生じたのなら、国を非難する資格はない。韓国が成熟した共同体になるためには、国と市民の双方が、常識と規範を尊重し
守っていかなければならない。


朝鮮日報/朝鮮日報日本語版: 2012/10/12 10:55
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/12/2012101200923.html