玄葉外務大臣が、沖縄県の尖閣諸島の国有化について、先に中国の楊外相と意見を交わした際、
「東京都の石原知事による購入を阻む唯一の方法」などという表現も使って、
中国側から理解を得ようとしていたことが分かりました。
政府は、今月11日に沖縄県の尖閣諸島を国有化しました。
これに先立つ今月8日、ロシアのウラジオストクで開かれた
APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議の夕食会の場で、
玄葉外務大臣は、中国の楊外相と短時間、ことばを交わしました。
政府関係者によりますと、この中で玄葉大臣は
「自分は日中関係は非常に大事だという考えで対応してきており、
そのことだけはくれぐれも誤解のないように理解してほしい」と述べました。
そのうえで尖閣諸島の国有化について、
「自分や野中広務元官房長官のように日中関係のことを真剣に考えている人はこの方法しかないと考えている」と、
中国との関係が深い政治家の名前を挙げたうえで、
「日本政府による島の購入が、東京都の石原知事による購入を阻む唯一の方法だ」とも述べて、
中国側の理解を得ようとしていたことが分かりました。
これに対し楊外相は、
「いかなる形であれ、中国の領土主権を害する行為を中国政府は受け入れられない。
中国は断固たる措置を取る。日本政府によるこのような行為は、一部の日本国民、
特に右翼の関心に応えるために行っているものだ」などと繰り返し主張したということで、
両者の溝は埋まらなかったということです。
この翌日には、野田総理大臣が中国の胡錦涛国家主席とおよそ15分間ことばを交わし、
胡錦涛国家主席が
「島の購入は、いかなる形であれ違法かつ無効であり、われわれは強く反対する。
野田総理大臣には、大局的な観点から誤った決断をされないようにしていただきたい」と述べたのに対し、
野田総理大臣は
「尖閣諸島は歴史的にも国際法上もわが国固有の領土であり、われわれはこれを有効に支配している」と述べました。
19日夜、野田総理大臣は尖閣諸島の国有化に抗議する反日デモが中国各地で続いていることについて、
「国有化するということを、再三、いろいろなルートを通じて中国側に説明してきた。
一定の摩擦は起こるだろうとは考えていたが、想定を超えている」と述べています。
玄葉大臣と楊外相のやり取りからも、日本政府が、尖閣諸島の国有化について、
事前に中国側の要人に対して直接説明することで理解を得ようとしたことがうかがえますが、
当初の日本側の想定以上に中国側の反発は強いものになりました。
ソース NHKニュース 9月20日 21時55分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120920/k10015169471000.html