http://sankei.jp.msn.com/images/news/120825/asi12082521340003-n1.jpg 写真: ベトナム銀行界の大物グエン・ドク・キエン容疑者=2011年12月(ロイター)
【シンガポール=青木伸行】ベトナムで銀行業界の大物の富豪と、銀行幹部が相次ぎ逮捕され、金融市場を揺るがしている。
逮捕された大物はグエン・ドク・キエン容疑者(48)。大手銀行のアジア商業銀行(ACB)の共同創設者で、20日に「不正な
ビジネス」を理由に逮捕された。同容疑者はベトナム輸出入銀行(EIB)の取締役や、投資会社3社の会長も務め、両行をはじめ
複数の大手銀行の株を保有している。
容疑の詳細は不明だが、社債と株の不正取引で利益を得て、債務返済などに充てていたという。
逮捕を受け両行などの株価が続落し、ACBの店舗には預金を引き出す客が殺到した。引き出された額は21、22の両日だけで
3億8400万ドル(約302億円)にのぼる。混乱を回避するため、中央銀行は数億ドルを市場に注入している。
そこへきて23日、この事件の関連でACBの幹部が逮捕され、混乱に拍車をかけた。
グエン・ドク・キエン容疑者は共産党一党独裁のベトナムにあって、市場経済の導入などドイモイ(刷新)政策の中でのし上がり、
巨万の富を築いた。
ハノイ市内の最も地価が高い「ゴールデンランド」(黄金の土地)と呼ばれる地域に豪邸を構え、ロールス・ロイスなどの高級車を
所有している。ハノイFC(フットボールクラブ)の会長でもあり、銀行業界とともにサッカー界のドンでもある。
ベトナム経済への国際社会の信用は通貨切り下げやインフレ、国有企業の汚職などが響き揺らいでいる。今年4〜6月の国内
総生産(GDP)の成長率も、4・7%に減速した。銀行は膨大な不良債権を抱えてもいる。そうした中での逮捕劇だけに、波紋は
大きい。
msn産経ニュース: 2012.8.25 21:32
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120825/asi12082521340003-n1.htm