<ミャンマー>イスラム系民族、安息求めインドネシアに
毎日新聞 8月20日(月)13時37分配信
http://amd.c.yimg.jp/im_sigg_4ajeho7tpSkJtXB8u.gxQ---x309-y450-q90/amd/20120820-00000025-mai-000-2-view.jpg ■ミャンマーで治安部隊に虐殺されたとされるロヒンギャの遺体の写真を前に、
銃撃の様子を再現するムハンマドさん=インドネシア西ジャワ州ボゴールで、佐藤賢二郎撮影
ミャンマー西部で続く仏教徒とイスラム教徒の対立の影響で、迫害を逃れてインドネシア入りする
イスラム系少数民族「ロヒンギャ」が急増している。人口の約9割をイスラム教徒が占める
インドネシアへの永住を希望する者が多いが、同国は国連の難民条約に加入しておらず、
定住は許されない。宗教的自由を手にしたロヒンギャたちは、インドネシア政府に条約への早期加入を
求めている。
ミャンマー西部ラカイン州で今年5月に仏教徒の少女がイスラム教徒とみられる集団に暴行、
殺害される事件が発生し、報復合戦が激化して双方で約80人が死亡、ロヒンギャを中心に
約6万人が家を失った。インドネシア西ジャワ州には7月下旬、ロヒンギャ23人を乗せた密航船が
到着した。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のジャカルタ事務所によると、昨年末にインドネシアで
登録されたロヒンギャは計168人だったが、今年1月から7月末までに新たに難民申請した
ロヒンギャは計394人に上った。
仏教徒が多数のミャンマーでロヒンギャは差別と迫害を受けてきた。「イスラム教徒にとって
インドネシアは天国。ミャンマーは地獄だった。人権も信教の自由もなく、恐怖におびえる毎日だった」。
カリムさん(32)は昨年5月、妻子と共に祖国を離れ、タイ、マレーシアを経て3カ月後に
インドネシアに着いた。
ミャンマーで経営していた衣料品店は政府軍兵士に強制的に閉店させられ、3歳上の兄は
警察に連行されて行方不明。民主化運動を支持していたカリムさんも危険を感じ、脱出を決めた。
◇難民条約未加入、定住は許されず
難民申請中のカリムさんは国際移住機関(IOM)の支援を受けて西ジャワ州ボゴールの民家で
暮らす。いずれ、オーストラリアなど第三国に移送される見通しだが、
「インドネシア国籍を取得し、働いて家族を養いたい。インドネシア政府は早く難民条約に
加入してほしい」と話す。
近くに住むカリムさんの兄、ムハンマドさん(38)も「私たちが欲しいのはお金ではなく、
イスラム教徒らしく生きる自由だ。異教徒が多い豪州やニュージーランドではなく、
インドネシアで暮らしたい」と語る。
しかし、インドネシア政府は経済的負担の増加と、テロリストなどの流入による治安悪化を理由に
難民条約加入に消極的な姿勢を崩していない。密航者は「不法移民」として入管施設に収容され、
UNHCRの審査を経てIOMに引き渡されるが、移転先も飽和状態だ。
収容の長期化による健康被害も懸念されている。
子供19人を含むロヒンギャ約80人を収容するスマトラ島リアウ州の移民拘留センターでは
オリで囲まれた部屋に複数のロヒンギャが閉じ込められ、寝具は薄いマットだけだ。
9カ月前に収容されたロヒンギャの男性(35)は地元メディアの取材に
「このままでは凍え死んでしまう」と訴えている。【ジャカルタ、ボゴール(西ジャワ州)で佐藤賢二郎】
ソース
<ミャンマー>イスラム系民族、安息求めインドネシアに (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120820-00000025-mai-int