中国成長率、4〜6月期に7.5%に接近も−アジア開銀の荘氏
5月24日(ブルームバーグ):中国の経済成長は4−6月(第2四半期)に恐らく鈍化し、ここ3年余りで初めて
となる利下げ実施の可能性が高まる−。アジア開発銀行(ADB)の上級エコノミスト、荘建氏がこう指摘した。
荘氏は23日に北京でインタビューに応じ、予想以上に鈍い欧米の景気回復と国内投資の冷え込みで中国の
4−6月成長率は前年同期比で7.5%に近づく公算が大きいと述べた。1−3月(第1四半期)は8.1%だった。
荘氏によれば、アジア開銀は年初時点では4−6月期の中国景気底打ちを予想していた。
中国国家統計局に勤務した経歴を持つ荘氏は「7.5%は心理的な境目」で、政策当局者はこの数字をまたぎたく
はないと感じるだろうと説明。「インフレ率が3.5%程度に、できるなら3%を下回る水準まで低下する必要があるが、
金利調整の可能性は高まりつつある」と述べた。
荘氏は、経済成長率が7.5%に近づけば、景気の急降下を避けるため政府は一部の投資プロジェクトを前倒しする
可能性があると分析。7%への急減速となれば、政策当局に不動産規制のよりはっきりとした緩和を促すという。
その上で同氏は、7.5%成長は中国にとって悪いことではないと指摘。当局は成長鈍化を容認し、民間企業支援
などの問題を優先課題とし、規制改革を進める機会として捉えるべきだと呼び掛けた。温家宝首相は3月、今年の
中国成長率目標を7.5%と低めに定めた。
荘氏は、インフレ鈍化は中国人民銀行(中央銀行)に利下げ余地を与える可能性がある一方で、政府は長年
計画してきたエネルギー・資源価格の抜本的改革を打ち出すかもしれないと語った。金利決定の際には、米連邦
準備制度理事会(FRB)が新たな資産購入プログラムを始めるかどうかといった他国の金融政策を考慮する必要が
あるとも付け加えた。
Bloomberg: 2012/05/24 18:02
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M4IQ856JTSE801.html