[シンガポール 22日 ロイター] アジア通貨市場では大半が上昇。23日の欧州連合(EU)非公式首脳会議への
期待感から、ショートカバーが先行した。中国が景気押し上げへインフラ投資を迅速に認可するとの報道も支援材料。
最近圧迫されていたマレーシアリンギと韓国ウォンは、短期筋のポジション調整で上昇。
今週の上昇で大半の通貨はテクニカルに売られすぎの水準から抜け出したが、一段のリスク資産買い入れには慎重に
なっている。
メイバンクの為替リサーチ代表のサクティアンディ・スパット氏は、新興国通貨はポジション調整、良好な国内ファンダ
メンタルズ、政策期待などで一段高となる可能性があるが、ユーロ圏債務危機や世界的な景気鈍化の影響を免れ
ないとの見方を示した。
マレーシアの銀行ディーラーは、EU首脳会議の結果、投資家の信認が高まってアジア通貨が上昇しても、ギリシャ
再選挙などを控えて一時的にとどまる可能性があると指摘した。
ドル/ウォンKRW=KFTCはオフショアファンドの売りや銀行筋のロング解消で下落。ただ輸入筋の買いが下値を支えた。
一部のオフショアファンドも買いに加わった。
ドル/リンギMYR=MYは銀行筋のロング解消で下落し、14日RSIは67.4となった。ただシンガポールドル/リンギ
SGDMYR=Rへの需要が注目され、下落は続かなかった。シンガポールドル/リンギは一部の投資家が安全資産として
注目しているが、市場関係者はトレンドは長くは続かないとみている。
<シンガポールドル>
ドル/シンガポールドルSGD=D3は、フォーミュラ・ワン(F1)の新規株式公開(IPO)への期待から下げている。
ドル/シンガポールドルは、時間足チャートで1.2633─1.2771の間で変動を見せ、フィボナッチ・リトレースメント
分析で61.8%戻しの水準にある1.2686を割り込んだ。
関係者によれば、今回のフォーミュラ・ワンによる総額30億ドルのIPOを前にして、プライベート・エクイティのCVCキャピタル
[CVC.UL] がブラックロック(BLK.N)など3つの機関投資家に、16億ドル相当のフォーミュラ・ワン株を売却している。
ドル/シンガポールドルは、現在の200日移動平均線の1ドル=1.2652シンガポールドルをターゲットにする可能性が
ある。その次の目標は5月17日に付けた下値の1.2633シンガポールドル。
<タイバーツ>
ドル/タイバーツTHB=D3は、オフショアファンドの売りや、銀行間の投機筋によるロングポジション縮小で下落。ドルインデックス.
DXYは、日足のダブルトップの81.75/80付近で抵抗線が見られる。
一方で、ディーラーによれば、国内の輸入業者が下値でドル買いに動いたため下落幅は限定されている。
*0705GMT(日本時間午後4時5分)現在のアジア地域の通貨の対米ドル相場は以下の通り。
シンガポールドル 1.2655
台湾ドル 29.510
韓国ウォン 1163.58
タイバーツ 31.30
フィリピンペソ 43.14
インドネシアルピア 9260.00
インドルピー 54.93
マレーシアリンギ 3.1150
人民元 6.3215
REUTERS: 2012年 05月 22日 18:42 JST
http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPTK081057420120522