「性的暴行被害に和解し、民事刑事上責任を問わないという内容だと通訳してください」(警察)
「和解文書を書き、和解金を受け取っても、処罰に影響は無いそうです」(通訳)
でたらめな通訳のため、性的暴行の被疑者が軽い処罰を受けそうになったものの、裁判所が被害者の意思を正確に把握し、
実刑言い渡した。
ソウル西部地裁・刑事11部(金鍾浩部長判事)は15日、韓国語が分からない被害者が通訳士のでたらめの通訳を信じて
署名した和解書を根拠に減刑を主張したコ某被疑者(30=性的暴行罪で起訴)に対し、懲役5年の実刑を言い渡したと
明らかにした。
裁判部や警察によると、4歳の時、海外に養子縁組で送られた後、生みの親を探すために帰国したが、昨年10月、性的
暴行を受けたファン某(32・女)氏は、警察での取調べで、引き続き「被疑者を処罰してほしい」と要求した。フランス語しか
できないファン氏に、警察が民間の通訳士をつけた。通訳士は、該当言語使用国での居住経験など、一定の要件を備え、
警察庁に登録した後、ボランティアとして活動することになる。
コ被疑者は和解を要求した。すると、警察は、「今回の事件につき、円満な和解が行われただけに、今後、このことに関しては、
いかなる民事刑事上の責任を問わないことに合意する」という内容の和解書を通訳士に見せた。法律上の「和解」内容も
説明した後、ファン氏の意思を尋ねた。
ところが、通訳士も生まれて6ヵ月後に外国に養子縁組に送られ、韓国に来て間もないところだった。韓国語では日常会話しか
できなかった。法律用語や韓国語読解が苦手だった通訳士は、「和解書を書き、和解金を受け取っても処罰に影響は無い」
と間違った説明をした。この説明を受けたファン氏は、「処罰を希望しない」という和解書に署名した。
和解はしたものの、特殊強姦罪が適用されたコ被疑者は裁判を受けることになった。コ被告は裁判で、和解書を根拠に、
「600万ウォンで被害者が和解しており、法律に則って、量刑を減らすべきだ」と主張した。
しかし裁判部は、「被害者は裁判や警察での取調べで、『厳罰を願う』と主張していたことから、和解書は間違った通訳に
よって作成されたものと認められる」と、コ被疑者の主張を受け入れなかった。
東国(トングク)大学・警察行政学科の郭大瓊(クァク・デギョン)教授は、「正確な通訳のためには、一人の通訳士ではなく、
複数の通訳士を通じてのクロスチェックと、大使館や大学との協力を通じた人材確保などの対策が必要だ」と指摘した。
東亜日報: APRIL 16, 2012 08:50
http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2012041611878