∞ 中国、ネパールとの関係強化 インドにらみ鉄道建設も協議
【ニューデリー=岩田智雄】中国がネパールとの経済関係の強化を進めている。3日付インド紙ヒンズー
によると、両国は、中国チベット自治区の青蔵鉄道をネパールのコダリまで延伸する計画を協議した。
貿易額も増加を続ける。中国にとって、ネパールは亡命チベット人の出国ルートになっているだけでなく、
核武装国インドとの間に位置し、戦略的重要性が高いことが背景にある。
中国の温家宝首相は今年1月、中国の首相としては約11年ぶりにカトマンズを訪問し、バタライ首相
らと会談。中国が資金援助を増やすことや、チベット独立運動を念頭に、ネパールが中国を分断しようと
する動きに対して領土を使わせないことなどを約束した合意文書に調印した。
ヒンズー紙によれば会談の際、ラサと青海省西寧を結ぶ青蔵鉄道の延伸計画についても協議。駐ネパー
ルの中国大使は先週、ネパール当局者に対し、中国国境の町コダリを通関地として整備するため支援する
ことを明らかにした。
ネパールは貿易の6割弱をインドとの間で行っており、物流の多くをインドに頼る一方、中国との昨年
の貿易額は前年比61%増の約12億ドルと拡大している。
また、チベット自治区から毎年数百人規模のチベット人がネパールを経由してチベット亡命政府がある
インドへ渡っており、中国にはネパールとの関係強化でチベットの分離・独立勢力を押さえ込む狙いがある。
中国が国境を接する国には、南シナ海の領有権問題で対立するベトナム、民主化の進展で相対的に関係
が後退したミャンマー、親日的な国王を持つブータンなどがあり、中国にとりネパールを自国側に引き寄せる
ことは戦略的意味を持つ。
ネパールでは2008年に王制が崩壊し、反政府武力闘争を行ってきたネパール共産党毛沢東主義派が
武装解除、毛派主導の政権が誕生した。王室と良好な関係を築いていた中国はかつて毛派をテロ集団と
みなしていたが、民主化後は毛派を最重要政党とみて関係を構築してきた。毛派書記長のダハル元首相
は首相就任後の初外遊先に慣例だったインドではなく中国を選び、インドを刺激した。
インドのジャワハルラール・ネルー大学のシリカン・コンダパリ教授は、「中国はネパール国境に19の
検問所を築いている。開通済みは数カ所で、残りはネパールの合意待ちだ。インドは、中国が軍事的に
攻撃的な動きをしているとみなしている」と話している。
ソース:MSN産経ニュース 2012.4.3 19:08
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120403/asi12040319090002-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/world/news/120403/asi12040319090002-n2.htm