【ベトナム】ビナシン裁判が問うもの… 国営造船公社ビナシンの経営破綻[03/29]

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1水道水φ ★
∞【アジアの目】ベトナム ビナシン裁判が問うもの

ベトナム国営造船公社、ビナシン(VINASHIN)のファム・タイン・ビン元会長ら旧経営陣の不正行為
をめぐる裁判が26日、始まった。40億ドル(約3320億円)近い負債を抱え、倒産の危機に瀕(ひん)
したビナシンは2010年12月にベトナム政府から無利子融資を受け、さらに11年1月には政府から
の全面支援を取り付ける事態となった。ビナシンの問題は、1社にとどまらず政府や軍と深く結びつい
たベトナム国営企業全体の問題といえる。

 ◆会長ら幹部を起訴

 ビナシンは1996年から操業、ベトナムの経済成長の波に乗り、造船だけでなく海運、貿易、建設、
金融業などにも進出。00年以降、年率35〜40%の成長を続けた結果、08年時点でベトナム全土に
28の造船所を持ち、従業員6万人を抱える複合企業グループに成長した。当時、ファム・タイン・ビン
元会長は「15年までにベトナムは世界第4の造船大国になる」と豪語していたものだ。

 しかし、その後の世界的な金融危機に加え、もともと造船部品の大半を輸入に頼り、さらに技術的にも
競争力を欠いていたことなどから、急速に経営が悪化。政府に救済を求める羽目に陥った。そして、昨年
11月に会長以下幹部9人が国家経済管理規定違反などの罪で起訴されていた。

 ビナシンの救済について、ベトナム政府は当初、消極的だった。ちょうど、再選時期にあたっていたグ
エン・タン・ズン首相との関係が取り沙汰されていたこともある。しかし、経営破綻で内外に与える影響
の大きさから、最終的に政府として救済に乗り出さざるを得なくなった。

◆ズン首相のきず

 ズン首相は11年1月の共産党全国代表者大会(党大会)で政治局員に再選され、続投が決まったが、
当時、ハノイで会った代表者の1人によると、党内には首相の再選に反対する声が少なくなかった。不信
任案を提出する動きもあったという。それほど、ビナシン問題は、ズン首相にとっては大きなきずだった
のだ。

 さらに、ベトナム政府が各国企業にビナシン救済を打診しているさなかの今年2月には、今度は国営
企業グループ、ベトナム電力公社(EVN)のダオ・バン・フン会長が突然、解任された。解任の理由は、
やはり経営不振と多額の負債の責任を取らせたものとされるが、問題はフン氏も、ビナシンのビン元
会長と同様、グエン・タン・ズン首相に近かったことだ。

 もともと外国投資家からは、グエン・タン・ズン首相に対する期待が高い。同首相が経済に明るく、ベト
ナム市場開放に積極的とみられているためだ。

 日本がベトナムにインフラ輸出の一環として新幹線技術を売り込む南北高速鉄道についても、ズン
首相が再選されたことで、残り任期中に日本の受注が実現すると期待が高まっていた。

 それだけにビナシンとEVNというベトナム有数の国営企業の経営破綻問題は、国営企業だけでなく、
ズン首相に対する信頼性にも疑問符をつける結果となった。

 中国に代わる進出先、投資先の一つとしてベトナムに対する日本の期待は高い。確かに「ドイモイ(刷
新)政策」の導入で、経済的には改革・開放路線を歩んでいるベトナムだが、中国と同じ共産党一党独裁
という体制は一切、変わっていない。

 今回のビナシンをめぐる裁判では、旧経営陣には最高で20年の禁錮刑が下される可能性が高いとい
う。しかし、今回の裁判で、ビナシンやEVNをはじめとするベトナムの国営企業の経営実態や、資金の
流れが明らかになることはないだろう。そこがベトナムの限界でもある。(編集委員 宮野弘之)


ソース:SankeiBiz 2012.3.29 05:00
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120329/mcb1203290503013-n1.htm
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120329/mcb1203290503013-n2.htm
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120329/mcb1203290503013-n3.htm
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