○韓国の携帯キャリア3社、急速な減益
これまで急成長を続けてきた韓国の移動通信キャリア3社が成長の限界に直面している。
KT、SKテレコム、LGユープラスの3社は、現在も年間2000億−2兆ウォン(約140億−
1400億円)の営業利益を上げているが、主力の移動通信分野は減収減益となった。
移動通信キャリア3社の昨年第4四半期(10−12月)の業績を集計した結果、SKテレコムの
営業利益は前四半期比38%減の3294億ウォン(約224億円)にとどまった。KTも44%減の
2876億ウォン(約196億円)、LGユープラスも57%減の405億ウォン(約28億円)へと利益を
減らした。各社は業績不振の理由について、第4四半期に基本料金を月1000ウォン(約68円)
値下げするなどして、全般的に収益性が悪化したためと説明している。
しかし、専門家は移動通信市場の低迷が一時的なものではなく、長期的傾向になる可能性が
あると分析している。例えば、KTが昨年第4四半期に得た携帯電話事業の通話収益は8019億
ウォン(約546億円)で、前年同期を24.5%下回った。移動通信事業での安定的な収益源と
される音声通話の収益が急激に減少し始めたためだ。
SKテレコムも事情は似ている。昨年第4四半期の無線インターネットを含む携帯電話事業の
収益は前年同期比で3%減の2兆6870億ウォン(約1830億円)だった。スマートフォンの
普及で無線インターネットの収益は増加したが、全体的には収益減を免れなかった。
LGユープラスは2010年第2四半期に移動通信分野で8921億ウォン(約607億円)の収益を
上げ、業績がピークに達した後、昨年第1四半期に8226億ウォン(約560億円)まで減少。
それ以降は徐々に持ち直し、第4四半期は8818億ウォン(約600億円)だった。
移動通信事業の衰退は、市場が飽和状態に達したことに起因する。移動通信キャリア
3社は昨年、契約者数がそれぞれ30万−80万人増えた。しかし、韓国の携帯電話契約者は
5247万人で、韓国の総人口より多い。通信業界の関係者は「契約者を増やし、収益を伸ばす
上では物理的な限界に到達した」と述べた。
スマートフォンのブームは、音声通話の減少をもたらしている。放送通信委員会の調査に
よると、スマートフォンのユーザーは、毎日スマートフォンでインターネットを平均87分利用
する。音声通話が月に200分前後なのに比べ、はるかに長い。
これは売上高への打撃として表れる。ユーザーがスマートフォンで「カカオトーク」のような
無料チャットアプリを使用し、ショート・メッセージ・サービス(SMS)による収益が急減した。
カカオトークによる文字メッセージの発信件数は今年に入り、1日当たりで10億件を超えた。
SMS料金は本来1件20ウォン(約1円40銭)だっただけに、通信会社は1日で200億ウォン
(約13億6000万円)の売り上げを失った計算だ。SKテレコム幹部は「年間3000億−4000億
(約200億−270億円)あったSMS収入が昨年は半減した。今年はほぼゼロになることも
考えられる」と述べた。
キャリア各社は危機を打開するため、第4世代(4G)の移動通信規格「LTE」に生き残りを
懸けている。理由は簡単だ。LTE契約者の月額使用料金は第3世代(3G)に比べ2万−
3万ウォン(約1360−2040円)高く設定されているからだ。
LGユープラス関係者は「LTEの契約者は普通月5万−6万ウォン(約3400−4080円)の
料金プランに加入する。契約者の半分がLTEに乗り換えれば、移動通信市場が再び伸びる
可能性がある」と指摘した。LTE通信網への今年の設備投資額は、KTが3兆5000億ウォン
(約2380億円)、SKテレコムが2兆3000億ウォン(約1570億円)、LGユープラスが1兆4000億
ウォン(約950億円)となっている。
□ソース:朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/02/07/2012020700538.html http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/02/07/2012020700538_2.html