∞手数料収入「早い者勝ち合戦」 カード各社、銀聯加盟店開拓
クレジットカード各社が、中国の決済用カード「銀聯カード」の加盟店開拓に火花を散らしている。
東日本大震災や原発事故で落ち込んでいた中国からの訪日観光客は回復基調に転じており、
今後はビザ(査証)緩和などを追い風に再び増加するとみられる。消費落ち込みによる手数料収
入減を中国人観光客で補おうと、加盟店開拓を急いでいる。
昨年2月から銀聯カードの取り扱いを始めた東京・渋谷のフアッションビル「109」。中国人の家族
連れやグループが多く訪れ、日本人の若者に交じって買い物を楽しむ。109を運営する東急モール
ズデベロップメント経営企画本部の桶谷武彦事業推進・広報部次長は「今は売り上げの1%弱が銀
聯カードによる決済。伸びしろは大きい」と話す。
これまで銀聯カードの取り扱いは、団体旅行で立ち寄る家電量販店や百貨店が中心だったが、
中国の個人観光ビザの発給で、行動範囲が拡大している。「消費意欲が旺盛で、大量にまとめ買い
する中国人観光客の取り込みは欠かせない」(桶谷次長)とみる大都市のファッションビルや地方の
ホテルなどにも導入の動きが拡大。2011年末には国内の取扱加盟店は約7万店舗と、1年で3.5
倍になった。
他社に先んじて決済用端末を設置すれば、手数料収入が得られるカード会社にとっては「早い者勝ち
の陣取り合戦」(業界関係者)だ。そこで各社は、あの手この手で加盟店開拓を進めている。
三菱UFJニコスは昨年、米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」を
使ったカード決済システムに、銀聯対応を追加したが、今春にはインターネット経由で処理する新決済
システムを導入する。「端末価格が従来の3分の1〜4分の1で、導入費用が安く済む」(島貫和久執行
役員)のが特徴だ。
三井住友カードもモバイル端末を使ったタクシーでの銀聯カード決済を始めた。ユーシーカードと
クレディセゾンは、みずほ銀行と提携し、全国の商業施設や飲食店、観光地を中心に店舗開拓を行っ
ている。
奈良市が市内の宿泊施設や飲食店などに補助金を出すほか、神戸商工会議所が会員企業向けに
銀聯決済サービスを始めるなど、自治体などによる導入支援の動きが加速している。
日本政府観光局(JNTO)が発表した11月の中国からの訪日外国人旅行者数は前年同月比35.0%
増と急回復。「今後はゴルフやスキーなどのリゾート需要の高まりも予想され、開拓できる業種や地域が
増える」(島貫執行役員)とみられ、各社の加盟店開拓競争も一段と熱を帯びるのは必至だ。
ソース:SankeiBiz 2012.1.11 05:00
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120111/bse1201110503000-n1.htm http://www.sankeibiz.jp/business/news/120111/bse1201110503000-n2.htm 画像:東京・渋谷のフアッションビル「109」には休日、平日を問わず、中国人の家族連れやグループが多く訪れる
http://www.sankeibiz.jp/images/news/120111/bse1201110503000-p1.jpg