「ぶつかるのは回避できた」――と思えたのも、ほんの一瞬だった。乗用車を運転していた潘
さんは交差点でいきなり、大型のコンテナ運搬車に遭遇した。急ブレーキとハンドル操作で衝突
をあやうく避けて停車したが、潘さんの目には、運搬車の荷台からはずれて、自分の車の上に
のしかかってくる巨大コンテナの姿が飛び込んだ。中国新聞社が報じた。
まさに出会いがしらだった。運転手は双方とも、衝突を避けようと懸命の操作をした。東から
西に走っていた乗用車は左ハンドル、北から南に走っていたコンテナ運搬車は右ハンドルを切
った。双方が並んだ格好で停車した。衝突は避けられたが、右に大きく曲がった運搬車の荷台で
コンテナがはずれ、大きく傾いてから潘さんの運転する乗用車にのしかかった。
浙江省寧波(ニンポー)市の海岸近くで1月3日午前10時20分ごろ発生した事故。現場に急行した
警察官は乗用車を見てうめいた。乗用車を押しつぶしたのは大型船舶での輸送にも使うコンテナ
で、重さは積荷とあわせて30トンあった。「この様子では、車内にいた人は……」と、凄惨
(せいさん)な光景を想像せざるをえなかったという。
コンテナは乗用車と並んで止まった運搬車の荷台から横方向に、乗用車目がけて落ちた。乗用
車はフロントからテール部分までが押しつぶされ、「スクラップ」状態になっていた。わずかに
左側が20センチほどの幅で、コンテナの直撃をまぬがれていた。その部分にあった窓から、乗
っていた人の腕が突き出ていた。
コンテナ運搬車の運転手も「もうだめだ」と思った。急停止した運搬車から飛び降り、乗用車
に近寄った。「心臓が止めどもなくどきどきしました」、「これまで運転してきて、こんなに
恐かったことはありません」という。
外に突き出た手が見え、そして運転手の頭部が見えた。顔は恐怖でひきつっていたが、生きて
いるようだ。よく見ると、それほど大きなけがはしていない様子だ。急いで警察に通報した。
駆け寄った警察官に、乗用車にいた人は生きていると説明。しかし車体にコンテナがのしかか
っていて、助け出すことはできない。たまたまに近くの工場に勤務している人が通りかかり、
フォークリフトを急いでまわしてもらえることになった。
フォークリフト4台を使って、乗用車内部の潘さんを傷つけないよう、逆の方向にコンテナを
転がした。消防も到着しており、変形した自動車から潘さんを救い出した。ただちに病院に搬送
されたが、潘さんは足を挟まれていただけで、軽傷だった。
中国では自動車が右側通行なので、ハンドルは左側についている。潘さんは、自分の車に右側
からのしかかる巨大コンテナを見て、反射的に左側のドアに体を押し付けた、その直後にコン
テナが落下して車体をつぶしたが、潘さんは左側に残された20センチメートルほどの隙間に体
があったため、「30トンの直撃」を免れたという。
乗用車には潘さんしか乗っておらず、他にけが人は出なかった。警察が事故原因を詳しくしら
べている。写真は同事故を報じた中国新聞社のウェブ・ページ。(編集担当:如月隼人)
サーチナ 2012/01/05
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0105&f=national_0105_318.shtml 写真
http://news.searchina.ne.jp/2012/0105/national_0105_318.jpg