∞韓国放送芸術振興院理事長、学費など240億ウォン横領
∞政治家などへの資金提供疑惑も
韓国放送芸術振興院(以下、韓芸振)のキム・ハクイン理事長(48)が3日、学費や法人の運営資金
240億ウォン(約16億614万円)を横領した疑いなどで逮捕された。ソウル中央地裁で令状の審査を担
当するイ・スクヨン裁判官は、キム理事長に対し「犯罪事実が明確で、証拠隠滅や逃亡の恐れがある」
として逮捕状の発行を認めた。
正規の大学と同じように学歴が認定される教育機関ではないものの、単位が認定される機関として
教育科学技術部(省に相当)に登録された韓芸振で、一体どのようにして巨額の横領事件が起こった
のだろうか。1992年に開設された韓芸振は、放送関連の技術や演技、演出などの指導を行う生涯学
習機関だ。歌手のキム・サンヒさんやインスニさん、舞台女優の孫淑(ソン・スク)さんといった豪華な
教授陣を誇り、これまでに1万人を超える卒業生を輩出してきた。
学費は454万ウォン(約30万3000円)=2012年度の新入生を基準=で、一般の大学の学費と似たり
寄ったりだが、設備はかなり不十分だ。新入生1000人、全学生数が2500人という規模を有するにもか
かわらず、講義室は40室に満たないことが分かった。
検察によると、キム理事長は、学生たちが支払った学費を韓芸振の口座ではなく、個人名義の口座
で受け取っていたという。キム理事長は個人名義の口座を利用し、学費を支払うだけで授業に出席し
なかったり、学期が始まった後、一定期間が過ぎる前に退学したりした学生たちに対し、返還すべき
学費を返還せず、これを横領していたことが分かった。韓芸振が、教科部による定期監査や管理・監
督の対象となる正規の学位授与機関ではないという点を、キム理事長が悪用したというわけだ。
ソウル中央地検金融・徴税調査3部(尹喜植〈ユン・ヒシク〉部長)によると、キム理事長は▲韓芸振
と併設の韓国放送アカデミーの資金240億ウォン(約16億200万円)を横領▲自分の資産10億ウォン
(約6700万円)を海外に移転▲法人所得を個人所得として申告する−といった手口で、法人税56億
ウォン(約3億7400万円)の支払いを逃れるなど、計300億ウォン(約20億200万円)を横領した疑いが
持たれている。
キム理事長はまた、こうした不正に気付いた韓芸振の元財務室長C容疑者(37)に脅迫され、約10
億ウォンを奪われた。C容疑者は「不正を暴露する」として、キム理事長から現金5億ウォン(約3300
万円)や京畿道坡州市にある別荘などを合わせ、約10億ウォン相当の資産を脅し取ったとして、先月
21日に恐喝容疑で逮捕された。
検察は、キム理事長が横領した金の使途について調べを進めている。また、キム理事長が、親密な
関係にあったとされるL氏(52)らを通じ、崔時仲(チェ・シジュン)放送通信委員長の政策秘書を務めた
A氏に約2億ウォン(約1300万円)を渡したという情報も入手したという。
2007年の大統領選の際、李明博(イ・ミョンバク)大統領の選対本部で活動したA氏は、08年から
昨年10月まで崔放送通信委員長の政策秘書を務め、現在はタイに滞在している。
放送通信委員会はこの日「A氏が(キム理事長から)金品を受け取ったか否かについては、検察の
捜査で明らかになるものだが、崔委員長とは無関係だ」と釈明する文書を発表した。また、A氏も自分
をめぐる疑惑については強く否定しているという。
このほか、検察は、キム理事長が韓芸振の近くにあるソウル市西大門区新村のMホテルで、与党の
政治家J氏と数回会い、巨額の金を渡したとされる疑惑についても、内偵を進めていることが分かった。
だが、J氏は本紙の電話取材に対し「キム理事長と偶然会ったことはあると思うが、彼がどのような
人物なのかも知らない」として、疑惑を全面的に否定した。
韓慶珍(ハン・ギョンジン)記者
ソース:朝鮮日報日本語版 2012/01/04 10:58
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/01/04/2012010401319.html http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/01/04/2012010401319_2.html 画像:図・キム理事長による不正の流れ
http://www.chosunonline.com/site/data/img_dir/2012/01/04/2012010401208_0.jpg