12月30日(ブルームバーグ):コモディティー海運市場で原油に次ぐ主要貨物である鉄鉱石の輸送需要の伸びが
少なくとも10年ぶりの低水準となっており、大型ばら積み船の海運レートが2002年以来の低水準に下落するとの
見方が広がっている。
ブルームバーグがアナリスト10人を対象に実施した調査の中央値によると、ケープ型船舶(約16万トン積み)の
海運レートは来年、1日当たり平均1万5000ドルになると予想されている。11年を約4%下回る水準であり、船主
企業やこれらの企業に投資する投資家にとっては損失が出ることを示唆する。ただ、バルチック取引所(ロンドン)の
データによれば、運賃先物契約(FFA)市場では平均1万6367ドルと見込まれているため、投機家は利益を得ら
れる可能性がある。
海運レートが23万3988ドルに達した08年に発注された船舶の就航が続いていることから船舶数は過去最高
水準に達しており、船主企業は対応を迫られている。世界最大の船舶ブローカー、クラークソンによると、来年は
鉄鉱石海上貿易の伸びが2.5%にとどまる一方、ケープ型の船舶数は9.8%増加すると予想されており、船舶の
供給過剰は悪化する可能性がある。海上輸送される鉄鉱石のうち65%が中国の鉄鋼業界で消費される。ブルーム
バーグが集計したエコノミスト調査によれば、中国の経済成長率は01年以来の低水準に鈍化すると予想されている。
タフトン・オセアニックの調査ディレクター、アンドレアス・ベルガッティス氏(香港在勤)は「船主企業にとって現時点で
問題なのは、いかにして、どれだけ長く持ちこたえるかであり、トンネルの出口に光が見えるのはいつかということだ」と指摘。
「12年のトンネルでは光が見えないのは間違いない」と述べた。同社は資産規模14億5000万ドルの世界最大の海運
ヘッジファンドを運用している。
Bloomberg: 2011/12/30 09:58
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LWZQJ50UQVI901.html