香港政府統計処が21日発表した最新の企業景況感調査によると、「2011年第4四半期(10〜12月)の
業況が第3四半期(7〜9月)より改善する」との回答は全体の19%と前回調査の25%から6ポイント下がった
一方、「悪化する」は7%から17%へと10ポイントも増加した。景況感を示すDI値(「改善する」から「悪化する」を
差し引いた値)は2ポイントと、前回調査の18ポイントと比べ一気に16ポイント下がり、全体的に景気の先行きを
不安視する動きが広がっていることが鮮明になった。
http://news.nna.jp.edgesuite.net/asia/H/20111024hkd002B001.gif 画像: 業況見通しの推移(前四半期比)
調査は政府統計処が11年9月6日〜10月11日に、◆製造業◆建設業◆貿易・卸売業◆小売業◆ホテル・
外食産業◆運輸・倉庫・宅配業◆情報通信業◆金融・保険業◆不動産業◆専門・ビジネスサービス業――
の主要10業種の有力企業計550社の経営陣を対象に実施。497社から回答を得た。
今回の調査では「悪化する」(17%)の回答比率が過去1年で最も高かった一方、」「改善する」(19%)は過去
1年で最低の比率となっており、この点でも景況感の悪化がはっきり表れた形となっている。
■米欧の経済不振が影響か
最も悲観的な見通しが多かったのは貿易・卸売業で、「改善する」が17%だったのに対し「悪化する」は27%で、
DI値はマイナス10ポイントだった。貿易・卸売業のDI値は7〜9月はプラス13ポイントだったため、悲観論が急激に
広がった形。また運輸・倉庫・宅配業も、プラス17ポイントからマイナス2ポイントへと19ポイント下げた。いずれも
米国と欧州連合(EU)の景気悪化で、これらの市場へのクリスマス商戦向け輸出が打撃を受けていることなどが
影響したとみられる。
専門・ビジネスサービス業のDI値もマイナス転落。7〜9月のプラス10ポイントがマイナス1ポイントになった。
製造業のDI値は7〜9月はプラス10ポイントだったが、10〜12月はゼロポイントに下がった。
これら3業種以外はDI値のプラスを維持したものの、7〜9月はプラス32ポイントだった金融・保険業は、10〜12月は
プラス6ポイントに急落。落ち込み幅は26ポイントと貿易・卸売業の23ポイントを上回り、調査対象10業種中で最も
大きかった。ユーロ圏の債務問題と、それに伴う7〜9月の株安などが影を落としたといえそうだ。
■観光関連は「強気」
こうした中、小売業とホテル・外食産業は「改善する」の比率が高く、10〜12月はそれぞれ32%と23%、DI値も
各22ポイントと16ポイントに達した。7〜9月との比較でも、それぞれ2ポイント、7ポイント上がっている。中国本土
からをはじめとする旅行者の消費需要が依然として好調なことが、これら業種の楽観的な見通しにつながっていると
みられる。
事業の最大の阻害要因としては、建設業では「人件費高騰」(回答企業の59%)、小売業では「物件賃料高騰」
(54%)、ホテル・外食産業では「食品高騰」(48%)との回答がそれぞれ最も多かった。残り主要7業種は「同業内の
競争激化」を最大の事業阻害要因として挙げている。
http://news.nna.jp.edgesuite.net/asia/H/20111024hkd002B002.gif 画像: 主要10業種別DI値
NNA.ASIA: 2011年10月24日(月曜日)
http://news.nna.jp/free/news/20111024hkd002A.html