外交関係を懸念した政府の不明瞭な態度に一石を投じる
切迫性・定義も強調し、外交努力の憲法上義務を確認
(ソウル=聯合ニュース)イム・スジョン記者=
慰安婦問題の解決に積極的に出ない政府に対して憲法裁判所が違憲決定を下し厳しい忠告を与えた
(※1)のは、政府として当然の義務を果たさずに国民の重大な基本権を侵害したと判断したためだ。
即ち、韓日請求権協定で規定された紛争解決手続き(※2)に進むことを、政府の「作為義務(作為
的且つ積極的行為をする義務)」と規定し即時的な履行を勧告したわけだ。
韓日両国は1965年6月に締結した韓日請求権協定に基づき、慰安婦を含んだ強制動員問題に対して個
人賠償請求権が消滅した(※3)のか解釈上の差異を巡って紛争を繰り広げていた。
日本は個人賠償請求権が消滅したと解釈した反面、我が政府は反人道的不法行為は協定だけで解決さ
れたと見ることは出来ないという立場を取ってきた。
しかし政府は、日本との消耗的な法的論争の継続や両国間の外交問題に飛び火するという点を憂慮し、
この問題に関してはこれまで何の措置を取らないという立場を堅持してきた。
憲法裁はまさにこの点について、政府が被害者の基本権を侵害しているという判断を下した。
韓日請求権協定第3条(※2)では「協定の解釈および実施に関する紛争がある場合、まず外交上の
経路を通じて解決し、これに失敗した時には仲裁委員会に付託する」と規定しているにも関わらず、
政府がこれらの手続きを踏まないのだ。
憲法裁は「対日請求権に慰安婦被害者の賠償請求権が含まれるのか両国間の解釈に差異が存在し、こ
れは協定第3条の【紛争】に該当するため解決手順に沿って外交的経路を通じて解決するべきで、努
力手段が尽きたならば仲裁に付託せねばならない」と明らかにした。
憲法裁はまた、政府の不作為で侵害されている基本権の重大さと救済の切迫性の部分にも注目した。
賠償請求権は単純な財産権問題でなく、人間としての根源的な尊厳・価値の侵害とも直接関連があり、
更なる時間が経過した場合は永遠に歴史的正義を正せなくなると判断したのだ。
実際、2004年に憲法訴訟を出した請求人全109人のうち、この日の違憲決定を見守った被害者は64人
だけであり相当数が故人となっている。
憲法裁は同じ論理で政府が日帝強制占領期間の原爆被爆問題を解決するための外交的努力を尽くして
いないことへも違憲決定を下した。
外交関係の不具合などを理由に被害者救済を冷遇する政府に「非常に不明確な抽象的理由で何の措置
も取っていない」と断固として指摘した。
また「法理解釈の限界を超えて外交的問題の解決を強制することは出来ない」として却下意見を出し
た3人の裁判官(※4)さえも「人間の尊厳を根こそぎ剥奪された被害者の切迫した事情を鑑みれば、
如何なる方法であっても国家的努力を尽くしてくれればという切実な思いだ」と判示した。
憲法裁関係者は「政府に特定方式の手続きを要求したり、法的な強制義務を課した決定ではないが、
政府に『外交的努力を尽くさねばならない』という憲法的義務があるということを確認したのに意味
がある」と話した。
聯合ニュース/韓国語(2011/08/30 18:28)
http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2011/08/30/0200000000AKR20110830186700004.HTML >>2に続く