江原道鉄原郡(カンウォンド・チョルウォン)に住む金サムボは、1ヵ月間、自宅にいる日が
ほとんどないほどの天下の博打打だ。江原道や?海道(ファンへド)、平安道(ピョンアンド)の
境界を行き来しながら、博打で暮らしている彼は、10歳年下の目鼻立ちの整った女性と一緒
に暮らしている。元夫との博打で奪い取ったといううわさが説得力を得ている。1925年に
発表された羅稻香(ナ・ドヒャン)の短編小説「ポン」の物語だ。18世紀末、帝政ロシア時代、
ペテルブルクを舞台にしたチャイコフスキーのオペラ、「スペードの女王」に出る伯爵夫人も、
知る人ぞ知る賭博中毒者だ。彼女は、「人生は賭博」と語ったとか。
◆カジノ賭博中毒は、古今東西を問わず広く知られている。一生涯かけて、汗水たらして集めた
財産を、一瞬にして使い果たし、破滅に至った人たちの物語は、周辺から難なく耳にすることが
できる。米国の有名カジノのある都市の中古車は、全国で最も安い。自動車まで質入し、賭博
をした人たちが売りに出すものが溢れているからだ。数万ドルの授業料を一夜にして使い果たし、
飲食店で皿洗いをしながら、授業料を工面しているという留学生の話もたびたび聞こえてくる。
◆監査院が一昨日にまとめた、江原ランドを巡る監査結果は衝撃的なものだ。江原旌善(チョン
ソン)の廃鉱地域に建設した江原ランドのカジノに、延べ13回以上出入りした計5万2317人中、
1307人は生活が厳しく、国から生計住居給付などを受けている人だった。このうち578人は、
基礎生活保障受給者に選ばれたあとも、少なくは13度から多くは1277度までカジノに出入り
した。3年間で6億ウォンを無くし、江原ランドを転々している人もいた。これぐらいなら、不治の
病にほかならない。なくした金が100万ウォン前後なら、簡単に足を洗うこともできるが、金額
が膨らむほど、泥沼から抜け出すことが難しいというのが、賭博界の定説だ。
◆賭博や麻薬、アルコール中毒など、あらゆる中毒は衝動をコントロールできないことから始
まっている。賭博をする時は、ドーパミンというホルモンが分泌されるが、中毒者は賭博をしな
ければ、このホルモンの分泌が減り、不安や手の震えなどの禁断現象まで現れると、精神科
の医師らは語る。賭博は、周りの人たちに被害を与え、挙句の果てに、自分自身まで破壊し、
社会復帰も難しくなる。賭博中毒は単なる悪い癖の問題ではなく、精神の病気だ。
ハ・テウォン論説委員
東亜日報 2011/08/26
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2011082622848