【朝鮮日報コラム】5000ウォンの昼食(イラスト)[06/08]

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1なつあかねφ ★
ソウル市内の楽園商店街から宗廟へと向かう途中、左側の狭く古びた路地に、うわさのカルグ
クス(韓国式の手打ち麺)店が2軒ある。カタクチイワシやアサリ、イガイなど魚介類でだし
を取ったスープはさっぱりした口当たりで、手打ち麺はコシがある。3人でおいしく食べ、1万
ウォン(約743円)を払うと1000ウォン(約74円)お釣りが来るため、さらに気分がいい。2軒
のうち1軒には「1965年20ウォン(現在のレートで約1.5円)から」と書かれた看板があり、庶民
と共に生きてきた、その店の歴史を語っている。ところが2軒とも、今年に入り価格を4500ウォン
(約335円)に値上げした。

飲食店で「時価」と書かれたメニューは、客を気後れさせる。「時価」とは、天然のアワビや
アラのように手に入れるのが難しく、高価な食材で作った料理の値段がその日ごとに変動する
ことを意味する。そのような事情が分かっているため、ある程度財布に余裕がある人でなけれ
ば注文する気にはならない。ところが、手ごろな店が多いといわれるソウルのある大学周辺の
食堂で、豚肉炒めに最近「時価」という表示が登場したという。

食の値段が驚くほどの上昇傾向を示している。跳ね上がる昼食代のため、サラリーマンは500
ウォン(約37円)を節約するために20‐30分歩くのは当たり前だ。ソウル・竜山電気街のトイレ
は、昼食の時間が終わると、食器などを洗う人たちが集まってくるという。別の会社の社員食堂
に行って安く食事を済ませる、いわゆる「幽霊社員」も増えている。

「広橋水月楼で、料理だけでなく、おいしいチャングッパプ(スープご飯)を、陰暦11月初め
から売り出すので、皆さんお越しください」。1898年12月、ある新聞にこのような広告が掲載
された。酒場で庶民が食べたメニュー、クッパプが、食事の店のメニューとして登場し始めた。
1920年台にソルロンタン(牛肉を煮込んだスープ)1杯の値段は、たばこ1箱と同じ10銭程度だ
った。1960年ごろ、家計の食料品支出額に占める外食費の割合は1.3%だったが、現在は48.9%
にも上る。家と職場が昔のように隣接しておらず、離れている現代社会で、外食はぜいたくで
はなく生活の一部となった。

サムギョプサル(豚バラ肉)、ソルロンタン、ジャージャー麺、冷麺、カルグクスなど、庶民
が好んで食べるメニューがさらに値上がりしており問題だ。食事代わりとして若者に人気の
トッポッキ(もちの唐辛子みそいため)の値段も2倍近く上昇した。昔から「腹が満たされて
初めて恥を知る」といわれている。政治は何よりも、食べることに対する国民の懸念を取り除
かなければならない。政治家たちは、昼食代5000ウォン(約372円)を節約するために安い店
を探し回るサラリーマンの気持ちが分かるだろうか。

金泰翼(キム・テイク)論説委員


朝鮮日報 2011/06/08
http://www.chosunonline.com/news/20110608000043

イラスト
http://file.chosunonline.com//article/2011/06/08/592896808646642646.jpg

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