2011/5/29 (22:32)
【タイ】7月3日の下院選に向け、各党が選挙戦を本格化している。
与党民主党党首のアピシット首相は28日、タクシン元首相派の野党プアタイの地盤である東北部に
入り、アムナートジャルーン県、ヤソトン県、ウボンラチャタニ県で自党候補者の応援演説を行った。
各会場には数百人が集まり、感触は上々だったようだ。
タクシン元首相の妹でプアタイの比例代表1位のインラク候補は同日、バンコクのルムピニ公園で選挙
演説を行った。会場には数千人が押し寄せ、熱気に包まれた。
両党は選挙後の連立工作をにらみ、中小政党の引き込みにも乗り出している。プアタイは「民主党、
(連立パートナーの)プームジャイタイ党との連立は困難」(ノパドン元外相)とする一方、連立パートナー
のチャートタイパタナー党、チャートパタナープアペンディン党に秋波を送っている。民主党は立ち
位置を明らかにしないチャートタイパタナー党に対し、いら立ちを強めているようだ。
こうした中、プームジャイタイ党の影の党首といわれるネーウィン元首相府相は英字紙バンコクポスト
に対し、下院選の獲得議席数を民主160、プアタイ210、プームジャイタイ111と予想。敗戦の
責任を取り、アピシット首相は民主党党首を辞任し、インラク氏も反タクシン派勢力の反発で首相には
なれないという見通しを示した。両党はこの発言に反発し、「自分の党が予想通り議席を取れるかどうかに
心配したほうがいい」(ステープ副首相・民主党幹事長)、「プームジャイタイの獲得議席は10程度
だろう」(プアタイのカナワット副党首)とやり返した。
タイ国立ラチャパット大学スワンドゥシット校が5月23―28日に行った世論調査(回答者4694人)
で、政党支持率はプアタイ43・2%(5月19―22日の前回調査41・2%)、民主37・5%
(同36・9%)だった。東北部ではプアタイの支持率が前回調査の55・3%から48・6%に急落し、
民主が19・7%から27・1%に上昇した。一方、民主の地盤である南部ではプアタイの支持率が前回
の8・4%から20・5%に上昇した。
選挙戦が本格化する中、タイの選挙に付き物の発砲事件も散発している。27日に北部ラムパン県の
市議会議長宅に銃弾が撃ち込まれたほか、28日にはチャートタイパタナー党の北部チェンライ県の選対
幹部の男性が路上で銃撃され死亡した。また、東北部ナコンラチャシマ県では29日、民主党候補の
選挙カーが盗まれた。
29日の警察発表によると、同日までに身辺警護を依頼した下院選候補者は123人。また、警察は
殺し屋75人のリストを新たに作成し、逮捕につながった情報に対し、リストの上位29人については
10万バーツ、その他の46人については5万バーツの褒賞金を出すとしている。
http://www.newsclip.be/news/2011529_031005.html