今年2月に中国人民銀行(中央銀行)は、昨年10月以来3回目となる利上げを行った。これ
により、人民元の対香港ドルレートはこれまで以上に高くなっている。
この中で、香港ドルを人民元に両替し、広東省深セン市の銀行に人民元建て口座を開設する
香港人が増えている。香港人が中国で口座開設する場合、香港の銀行は手数料を免除している。
これは人民元高を商機とみているからだ。
香港の銀行の窓口担当者たちは「人民元の上昇に比例して人民元建て預金を要望する顧客が増
えており、それが人民元の一層の上昇と香港の本土化をもたらす」と口をそろえる。
広東省深セン市の羅湖口岸には出入境検査所があり、香港ドルを人民元に両替する香港人があふ
れている。その一人、張氏によれば、以前、香港人は少額の香港ドルを両替するだけだったが、
最近は多くの香港人が1万元(約12万円)を超える両替をして、定期預金口座に預けている
という。
羅湖口岸付近の中国工商銀行では、香港人がボーダーを越えて来店し、人民元で預金をするの
はごく普通のことになっている。香港人が中国で人民元建ての口座を開設するには、中国本土
の人と同様、身分証があれば可能だが、香港への人民元の持ち出し制限はある。
香港の匯豊(わいほう)銀行の窓口担当者のアントニー氏は「香港ドルの利率は微々たるもの
で、預金をしても、たいした利息はつかないが、人民元に両替して預ければ、1万元なら3カ月
で0.5%、1年以上なら、0.71%の利息がつく」と人民元の優位性をアピールする。
香港人貿易商の董氏も「人民元高が続き、かつては複雑だった香港ドルから人民元への両替
手続きも簡略化された」と話している。(広州日報=中国新聞社)
sankeibiz 2011/05/10
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110509/mcb1105090502007-n1.htm