中国では市場に出回る食品のおよそ9割になんらかの食品添加剤が含まれており、成人一人一日
あたり80〜90種類の食品添加剤を摂っていることになるという。さらに家畜の飼料への添加
剤や抗生物質の投与の過多も問題になっている。専門家の意見を人民日報が報じている。
食品添加剤はすべてが悪ではない。防腐剤がなければ即席めんですら出荷して2日で変質して
食用に適さなくなるという。合法的に基準を守れば我々の健康のために役立つものだ。
しかし国務院食品安全委員会が4月23日に公布した食品への添加を禁止するとした151種類の
添加剤の中には、47種類もの”食用ではない”物質が含まれており、また禁止された添加剤の
うち22種類はこれまで頻繁に使用されてきたものだという。
添加せずに済むものは添加しない、防腐剤のように添加しなければならないものは極力使用量
を減らすなど安易に食品添加剤にたよらない発想が必要だという。
また家畜の飼料への添加剤と家畜への抗生物質の過剰投与が深刻な問題となっている。いずれ
も食肉加工後、人の体内へ蓄積される。特に抗生物質の過剰投与は新たな耐性菌が生まれる原因
ともなり人類を脅かす病原菌への成長の危険がある。
家畜の飼料添加剤と抗生物質過剰投与問題の原因は5つある。
@養殖業、酪農業従事者は農家や小規模な経営者が多く全体の70%を占め行政の指導管理が行き届かない。
A養殖業者は弱体で飼料原料や輸送費の値上がりによる市場価格の変動も大きい。
B出荷してから消費者に届くまで何か所も中継するため途中で何らかの添加剤が投与されても実態がわかりにくい。
C養殖事業従事者の素質が低い。
D食品を扱う者としての社会的責任感の欠落。
社会的責任感の欠落の根源にはとにかく金儲けの発想がある。大企業でも違法操業はくり返さ
れるし、弱小の食品工場や畜産農家などでは知識がないままに小資本で利益があがるとして極
めて危険な添加剤が投与されたりしている。徹底的な取り締まりと食品事業者への意識の啓蒙
が大切だが、基本的に弱者への生活保障が整わなければ食の安全問題は永遠に解決しないだろう。
エクスプロア上海 2011/05/09
http://www2.explore.ne.jp/news/articles/16620.html?r=sh