東日本大震災や、福島第1原子力発電所の事故のニュースが全世界を駆け巡る中、韓国では、
中国・上海で勤務していた韓国の複数の元領事らが、同一の妖艶な中国人女性と「不適切な関
係」を持ち、韓国政府の内部情報などを漏洩(ろうえい)していた疑惑が大きく報じられ、国
民的関心事となった。特別合同調査団まで組んだ韓国政府は3月25日、「スパイ事件ではな
い」と結論づけたが、波紋は、4月3日付の香港誌が「大騒動の背景に中国脅威論がある」と
分析するなどアジアの華人社会にまで拡大している。(吉村剛史)
■女007?
韓国社会がこの話題で持ちきりになったのは3月初め。
韓国政府の監察当局が、中国・上海の韓国総領事館に勤務していた元領事2人が、「同じ中国人
女性と不適切な関係を持ち、重要資料を漏洩(ろうえい)していた疑いが強まった」として2人
の所属官庁に対し懲戒処分を含めた措置を取るよう要請したことを、東亜日報をはじめ、韓国
各紙が3月8日付で大きく報じた。
同時に、同じ中国人女性と、やはり不適切な関係にあった法務省出身の別の元領事1人も、規則
に違反して、女性に観光査証(ビザ)を発給したとして、2月に辞表を提出した。
女性の所持品のUSBメモリーからは、韓国政財界の有力者約200人の携帯電話番号などの
記録が発見され、さらに金正基前総領事もこの女性と親密だった疑惑まで浮上した。
韓国メディアはこぞって「中国の女007によるハニートラップか」と疑惑の目を向け、マタ・
ハリやアンナ・チャップマンなど伝説の女スパイ列伝が掲載されるまで報道が過熱。
政府も反応し、急遽(きゅうきょ)、首相室を中心に、法務部、外交通商部、関連機関との合同
調査団を結成し、「徹底的に調査を進める」という騒動にまで発展した。
■韓国政府は「不倫」
その結果、韓国政府は3月25日に記者会見を開き、「外交官として重大な職務規定違反があ
った」との調査結果を公表。
首相室事務次官の金錫民氏は「上海の総領事館の外交官らに職務上、不適切な風潮があってこ
のような恥ずべき事態を招いた」と、元領事らが公務員の服務規定に違反した事実を非難し、
関係部門に対して、事件に関与した前任の総領事を含む十数人への処罰を求めた。
しかし一方で、政府の見解として、「今回の不祥事は不倫であって、スパイ事件と断定する証拠
はなかった」とも結論づけている。
結局、元領事らから女性に流れた情報は、駐上海韓国総領事館のビザ発給記録、韓国外交官の
緊急電話連絡網、韓国政府内部の人事に関する情報のほか、李明博大統領周辺を含む韓国政財界
約200人の携帯電話番号など。
しかし、これらの情報に関しても、韓国政府は「国家機密や、韓国の法に抵触する情報は含ま
れていなかった」としている。
>>2に続きます
MSN産経ニュース 2011/04/
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110424/chn11042418010000-n1.htm 写真
http://sankei.jp.msn.com/images/news/110424/chn11042418010000-p1.jpg