★中国軍「太子党」躍進 背景に習近平軍事委副主席の影響力
【北京=矢板明夫】中国人民解放軍は1月中旬から下旬にかけて、軍幹部20人以上の人事異動を行った。
来年秋の第18回中国共産党大会に向けた若返りの一環だが、
元高級幹部の子弟で構成する「太子党」勢力の躍進が目立った。
太子党に属する習近平国家副主席が昨年秋に軍ナンバー2の中央軍事委員会副主席に就任して以降、
軍人事に対し影響力を高めたことが背景にあるようだ。習氏による軍掌握が着々と進んでいることを印象づけた。
中国国防省のホームページなどで確認された一連の人事で注目されているのは、
軍の兵站を担当する総後勤部の政治委員に就任した劉源上将(大将)だった。
軍の研究機関である軍事科学院の政治委員からの横滑りだが、軍系企業、病院、物資の管理
などを統括する部門のトップとなったことは、大きな実権を手にしたことを意味する。
複数の香港紙は、来年の党大会で劉源氏は軍人事部門の最高責任者、
総政治部主任に就任すると予測している。
劉源氏は習近平国家副主席と親しい関係にあることで知られる。
両氏は学業時代から北京の要人居住地、中南海で一緒に育った関係にある。
父親の失脚によって過酷な農村で「下放」時代を過ごしたことも同じだ。
北京に戻り大学入学も就職もほぼ同時期。
習氏は以前、中国メディアの取材で、劉源氏を「志が同じ仲間」と語ったことがあり、
今回の劉源氏の人事は習氏が影響力を行使した可能性が高いとの見方がある。
北京軍区管轄の第27集団軍司令官から南京軍区副司令官に昇格した秦衛江少将の人事も話題になっている。
父親の秦基偉元国防相は元最高実力者の ●(=登におおざと)小平氏の側近として知られる人物で、
習氏の父、習仲勲元副首相と親しい関係。習家と秦家は家族ぐるみの付き合いがあった
と香港誌が報じたことがある。対台湾作戦を担当する南京軍区の副司令官は中将ポストで、
秦氏は近いうちに昇進するとみられる。
今回の人事に限らず、中国軍内部には太子党はすでに多くの要職を占めており、一大勢力を形成する。
北京の知識人は「子供時代から既得権益者である太子党を軍内で抜擢することは、
共産党一党独裁政権を守るために必要不可欠なことだと当局は考えている」と指摘している。
ソース 産経新聞 2011.2.1 20:52
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110201/chn11020120540002-n1.htm