地域限定・ご当地仕様、韓国家電好調
蚊取りエアコンから「羅針盤」付き携帯電話まで、アジアの多様な風土、風習に合わせた
「地域限定・ご当地仕様」の製品を韓国企業が続々投入、消費者の心をつかんでいる。
日本勢も、高品質で、しかも安い製品を投入、追撃を始めた。
人口2億人を超える大市場、インドネシア。ジャカルタのエアコン売り場で、
自営業のスクリさん(33)は「これでデング熱を予防するんだ」と、迷わずLG製品に決めた。
蚊が媒介するウイルス性感染症のデング熱。同国では昨年、15万件以上の感染が確認された。
この病に着目したLGエレクトロニクス・インドネシアが3年前から開発に着手し、
昨年発売したエアコンは、なんと、蚊を殺す。その名も「ターミネーター」だ。
エアコンが超音波を発信し、蚊の神経をマヒさせるという。地元大学の調査で効果が確認された。
月平均3500〜5000台が売れるヒット商品となり、同じ悩みを持つタイやブラジルでも販売を始めた。
同社のエアコン担当、アルバート・フレミング氏は「我々は常に地元のニーズを考えている」と胸を張る。
中流層に人気のニューデリーのサロジニナガル・マーケット。
家電販売店には、使用人が食品を盗むのを防ぐためのカギ付き冷蔵庫、
インドカレーのメニューボタンがある電子レンジが並ぶ。いずれも韓国製だ。
長時間停電時の保冷能力や、電圧安定機能を備えた冷蔵庫もあるという。
家電店主のシンガルさん(40)は「韓国製のよさは、地元向きの機能と安さだね」と話した。
「同じ品質なら、日本製より4割ほど安い」という。
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ご当地仕様は、目白押し。韓国の報道によると、
現代自動車は、インドで、「頭にターバンを巻いていても乗れる」よう、天井が高い乗用車を開発した。
LGはエアコンと天井据え付けの扇風機を一つのリモコンで同時操作できるようにした。
どこにいてもイスラム教の聖地メッカの方角が分かるよう「羅針盤」機能を付けた中東向け携帯電話もある。
家電で日本メーカーを圧倒するサムスンやLGなど韓国企業の強さの秘訣(ひけつ)は、
消費者の実感を大事にした商品の現地化戦略だ。
一方の日本勢。ニューデリーの主婦(41)に
「インド人にとって家電と言えば韓国製」と言われるほど苦戦しているのは事実だが、
「日本製は高品質というイメージが定着している」(日本貿易振興機構)強みは、まだまだ失われていない。
同じニューデリーの日本家電店主は「オーディオファンなら日本製にこだわる」。自動車やバイクも強い。
「エス・カワイイ」など日本のファッション誌の
タイ語版を発行する出版社のウォラジャン編集長は「女性ファッションは日本の人気が高い」と言い切る。
自動車や化粧品メーカーなどは従来の高級品とは別に、アジア向け低価格商品も続々と投入し始めた。挽回の機会は十分ある。
(ジャカルタ 林英彰、ニューデリー 新居益、バンコク 深沢淳一、ソウル 竹腰雅彦)
2010年12月16日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20101216-OYT8T00255.htm