【コラム】米空母に歓喜するヒツジの群れ
サラリーマン化した将校、時が過ぎるのを待つだけの兵士
国に危機が迫ると米空母を待つ、オオカミに遭遇したヒツジの群れが羊飼いを待つように
このたび国防長官に内定した金寛鎮(キム・グァンジン)元合同参謀本部議長が、
「今や韓国軍は行政中心の組織になっている」と語った。軍の将校が公務員になった、というわけだ。
言い換えると、月給をもらうため、惰性的に会社へ通うサラリーマンということだ。
サラリーマンは、国を守ることはできない。国は戦士が守るものだ。
今、韓国軍の将校の中に、闘士や戦士と呼ぶに値する人物がどれだけいるのだろうか。
軍の指揮官は、複雑かつ急迫した状況の中で、知識と情報を集め、知恵を絞り、
勇敢な判断を下さなければならない。惰性的なサラリーマンには、決して持ち得ない能力だ。
米軍を間近に見る機会があった。米軍が強い理由は、武器のせいではなかった。
米軍の将校、とりわけ将軍たちは、エリートと認めざるを得なかった。
米軍の士官学校は、プリンストン大やハーバード大に比べ点数が高いわけではない。
しかし、入学は非常に難しい。米国の大学ランキング専門機関が例外なく認める事実だ。
国際情勢に関する米国の論文を集めた本を見たところ、著者の半数は海軍士官学校出身者だった。
今日、韓国最高の頭脳が士官学校に集まっているとは、誰も言えないだろう。
過去には、水準の低下が深刻な問題となったほどだ。この人々が今、韓国軍の中枢を担っている。
一方、北朝鮮では最高の頭脳が軍に集まっている。こうした人的資源の格差が、最近になって
表面化している。哨戒艦「天安」沈没事件で韓国の将校たちが見せたのは、一言でいえば「無能さ」だった。
ペンニョン島に設置されたカメラが沈没の瞬間を撮影していたのに、その装置に録画機能がある
という事実を知らなかった。これでは話にならない。
対砲兵レーダーというものは、単なる軍の装備ではない。
ソウルを狙っている北朝鮮の長射程砲の位置を割り出す装置だ。
長射程砲の位置を直ちに割り出してつぶすことができなければ、韓国は致命打を浴びる。
その装備が鉄くず同然ということが、以前に北朝鮮が行ったペンニョン島沖の海上への砲撃で明らかになった。
そして今回も当時のままだ。これは、悪事ではなく、無能だ。
惰性的なサラリーマンには誇りがない。誇りがなければ、容易にうそをつく。
哨戒艦「天安」沈没事件で軍が示した多くのうそが、どれほど国に痛手を与えたか、今さら語る必要もない。
にもかかわらず、延坪島への砲撃でもうそが見られる。
誇りがなければ、恥を知ることもない。哨戒艦「天安」沈没という大変な敗北に直面しても、
きちんとした懲戒がなく、うやむやに過ごしてきた。それも、人々の視線が延坪島への砲撃事件に
向いている間に処理した。
二等兵から兵長まで、大韓民国の兵士は、世界で最も学歴が高いという。
しかし、自分が任務のために命を懸けなければならない「軍人」だという事実を自覚している兵士が、
どれだけいるだろうか。かつてある将軍が、「地上軍のうち、特殊戦司令部(特戦司)は信じるに値し、
海兵隊は自分の役目を果たせる。それがすべてだ」と語った。
これが、一般徴集兵の戦闘力に対する冷静な評価なのかもしれない。
(
>>2以降に続く)
楊相勲(ヤン・サンフン)編集局副局長
http://file.chosunonline.com//article/2010/12/05/465662464326425953.jpg 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2010/12/05 12:01:33
http://www.chosunonline.com/news/20101205000022 http://www.chosunonline.com/news/20101205000023 (
>>1の続き)
将校はサラリーマンになり、兵士は軍服を着ているものの、本当の軍人ではない。
将校は良いポストに就いて昇進することばかりを考え、兵士は除隊の日ばかり指折り数えて待っている。
そうして危機が迫ると、米国の原子力空母ジョージ・ワシントンを待つ。
その船が来ると、大統領は「ありがとう」と言う。 60年ほど続いた平和が作り出したマンネリズムであり、
10年間の太陽政策でより一層悪化した現実だ。就職が難しいことから士官学校の合格点が上がるとは、
いったい何を言っているのか。
6・25戦争(朝鮮戦争)のとき、中共軍と北朝鮮軍は韓国軍だけを狙った。いい獲物だったからだ。
1951年の敵による春季攻勢では、中共軍の小部隊が韓国軍3個師団の後方にある峠道を
1本占領したところ、たちまち数万人の大部隊が浮き足立った。将軍たちは物乞いに成り済まして逃亡した。
米軍の指揮官があきれ返り、韓国軍の軍団長に「あなたの軍団はどこにいるのか」と尋ねたところ、
軍団長は「知らない」と答えた。恥ずかしいという言葉ですら、表現し尽くせない。
そのとき中共軍に捕らえられた数万人の韓国軍捕虜が、端が見えないほど長い列を作っている写真を見た。
「今は違う」と、幾度も自分に言い聞かせた。しかし現在の状況は、果たして韓国軍の本質が
その当時とは違うのか、と問い掛けている。また、韓国国民の本質がその当時とは違うのか、と問い掛けている。
ヒトラーはイギリスについて、「ライオンの群れをヒツジが率いている」と評した。
ヒトラーはイギリスの政治家は怖くなかったが、イギリスの国民と将兵を恐れていた。
韓国軍の部隊で講演を行ったある脱北者は、「北朝鮮の軍人は野獣だが、
韓国の軍人は両班(ヤンパン=朝鮮王朝時代の貴族階級)のようだ」と語った。よく言えば両班だ。
今の大韓民国は、ヒツジの群れをヒツジが率いている。その貧弱な群れの前を、オオカミがうろついている。