違法風俗店:都内で摘発相次ぐ 「偽装脱北者」を警戒 韓国ではスパイ事件多発
<追跡>
韓国籍の脱北者の女が経営する違法風俗店の摘発が東京都内で相次いでいる。
従業員も多くは脱北者で、経営者らは警視庁の調べに「韓国よりも手軽に金を稼げた」と供述しているという。
警視庁はこうした来日脱北者は増加傾向にあるとみている。一方、韓国では近年、脱北者を装って
スパイ活動をする「偽装脱北」が問題化している。日本では立件例はないが、警察当局は偽装脱北者が
紛れ込んでいる可能性もあるとみて、脱北者の動向を警戒している。【村上尊一、伊澤拓也、ソウル西脇真一】
10月4日午後4時半ごろ、JR上野駅近くの韓国料理店などが入る雑居ビルに、スーツ姿の捜査員数十人が
次々と入った。5階にあるマッサージ店の摘発だ。約2時間後、20〜30代の従業員の女が次々と連行された。
一様にうつむき、上着のフードなどで顔を覆う。最後に経営者の女(49)がうつろな表情でワゴン車に乗り込んだ。
女は風営法違反(禁止区域営業)、出入国管理法違反(不法就労助長)容疑で警視庁に逮捕された。
警視庁は5月にも、近くのマッサージ店2店を摘発し、経営者の脱北者を逮捕している。
この3店では、脱北者の間で店の権利売買が繰り返されていた。
女が以前経営していたマッサージ店を訪れると、受付の中年女性が「2代前のオーナーだったけど、
他の店に行っちゃったみたい」とそっけない。この店の現経営者も脱北者とみられている。
一連の捜査で逮捕された従業員8人も脱北者だ。いずれも短期滞在ビザで来日し、
北朝鮮に残る家族の脱北費用や生活費を得るために不法就労したと供述しているという。
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韓国の報道では、女は「日本で働けば月に1500万ウォン(約110万円)稼げる」と、
脱北者の女性ばかりを勧誘していたという。違法風俗店が女性らの受け皿になっていた。
捜査関係者などによると、女は北朝鮮北部の清津市出身で、99年に中国に脱北。
韓国に渡り国籍を取得し、04年に来日。都内の脱北者の下で働き始め、その後、複数のマッサージ店を経営した。
来日後、2人の日本人と結婚。昨年12月に上野駅近くの店のオーナーになってから10カ月で
総額約3500万円を売り上げ、「北朝鮮や韓国の親族に送金した」と供述したという。
女を巡っては、韓国から「脱北者の情報を集めていた不審な女が日本に出国して戻らない」
という情報が寄せられていた。警視庁などは約50回の出入国を繰り返していたことを確認。
北朝鮮当局との関係も疑われたが、女は今月、風営法違反などでの略式命令を受けるにとどまった。
(
>>2以降に続く)
毎日新聞 2010年11月27日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101127ddm041040025000c.html http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101127ddm041040025000c2.html http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101127ddm041040025000c3.html ※依頼ありました(依頼スレ133、
>>387)
(
>>1の続き)
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日本の警察当局が脱北者流入を警戒するのは、偽装脱北者のスパイ摘発が韓国で相次いだためだ。
軍人から情報収集したとして摘発された女スパイは、07〜08年に3回、日本に入国していたことが後に分かった。
今年4月には亡命中だった黄長〓(ファンジャンヨプ)元朝鮮労働党書記(10月に死去)の暗殺を計画した
スパイ事件も発覚した。
背景には脱北者の急増がある。韓国統一省は15日、脱北者の累計が2万人を超えたと発表。
韓国では脱北者は入国時、情報機関などの厳しい合同尋問を受ける。だが、ある韓国政府関係者は
「かつては住民登録カードを見るだけで一般住民と区別可能だったが、今は人権上できない。
脱北者が増えすぎ、きちんと管理できる限度を超えている」と話す。
入国後、差別や就職難に直面する人も多く、韓国の国会議員が9月に行ったアンケートでは、
脱北者の約7割は「生活が困難」と回答。第三国行きを希望する人も多い。
日本の警察当局は、こうした人たちが出稼ぎ目的などで来日し、在日朝鮮人の多い地域に溶け込んでいる
可能性があるとみている。だが実態把握が難しいのは同じで、警察幹部は「日本にもスパイが紛れ込んでいる
可能性は否定できない」と指摘する。