http://images.china.cn/attachement/jpg/site1004/20101122/001ec94a25c50e541e0302.jpg 菅直人内閣は、今年末までに新しい「防衛計画大網(防衛大網)」を閣議決定する予定である。日本の
国防政策がここまで大幅に変更されるのは冷戦以来初めてである。軍事力の重点を北方の防衛から中国
周辺の西南諸島の防衛に切り替えたこと以外にも、民主党政府は、意思決定・指揮命令体制や緊急対応
体制から人員編制や武器・装備の配備に至るまで徹底的に改訂する予定である。これには米国のアジア・
太平洋戦略に協力し、日米同盟の強化を推進するという本音が隠されている。
■整備が進む日本の防衛政策
復旦大学日本研究センターの胡令遠副主任はこのように述べている。「菅直人民主党政権は、以前の
自民党政権時の外交政策からの『転換』を狙っている。そして、本来の『米国と連携して中国をけん制
する』という流れに引き戻したいと考えている。」民主党が打ち出した5項目の修正案はどれも目新しさ
に欠け、日本国内で繰り返し議論が交わされてきた内容も含まれている。しかし、中日の釣魚島衝突事件
を受け、国民の間で賛同する意見が増えている。日本の中国に対する危機感が日増しに強くなっている
ことは明らかで、今後10年のうちに、何かしらの行動を起こさなければ、中国の属国にされてしまうの
ではないかと危惧しているため、中国に対抗し得る軍事力の保有を目指しているようだ。冷戦後、大ま
かだった日本の防衛政策は周到に整備され始め、日米安保同盟も着実な前進を見せた。戦略面においても
政策面においても、日米の協力体制は大きく発展している。
■揺さぶられる憲法の平和原則
軍事力の調整以外にも、日本政府は自衛隊の訓練・演習を強化し、国外での平和維持活動を制度や法で
定めることによって長期的に促進していくことを「新防衛大網」の重要な目標としている。
日本は第二次世界大戦の敗戦国であり、唯一原爆の被害を体験している国でもある。そのため、日本国民
は戦争に対して強い反感を抱いており、自衛隊の国外での活動にも当初は強い反発があった。しかし、
カンボジアに始まり、後のイラクでの平和維持活動を通して、国民は自衛隊が国外の活動から得られる
見返りが大きい事に気付き、次第に受け入れ始めている。胡令遠氏曰く「日本は戦闘力を強化し危機の際
に対応できる力を付けるのに、平和維持活動を訓練代わりにしている。そのため、日本は国外で平和維持
活動ができる機会を決して逃さないようにしてきた。津波や地震などの緊急の救援活動にも数多く参加し、
加えて米国との頻繁な軍事演習と来れば、今後、南シナ海・東シナ海に危機が及んだ時、日本は自衛隊
が強い戦闘力を発揮できることを保障できるだろう。」
>>2に続きます
チャイナネット 2010/11/22
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2010-11/22/content_21392430.htm http://images.china.cn/attachement/jpg/site1004/20101122/001ec94a25c50e541dd301.jpg 資料写真:日本自衛隊の航空機
このように国外への自衛隊派遣の制限を緩和するだけでなく、「新防衛大網」は武器の輸出においても「平和憲法」に
抵触している。民主党の外交・安全保障調整会の中川正春会長は政府に対し、同盟国との武器開発協力を強化し、
「武器輸出三原則」の改訂をするよう提言した。
武器輸出三原則は、1967年に当時の佐藤栄作内閣が(1)共産主義国(2)国連決議で禁じられている国(3)国際紛争
当事国――への輸出を認めないと国会で表明したのが始まりである。しかし、武器装備を製造している大企業は、
武器輸出の制限が厳しいことによって、日本の武器の研究開発が他国より大きく出遅れてしまい、技術面で損害を
受けることを懸念している。「この見方は日本のタカ派の議員の賛同を得て、二大勢力は結託し、『平和憲法』を覆す
ことを企んでいる」と胡令遠氏は指摘する。
胡令遠氏からしてみれば、民主党の5項目の修正案は、米国主導の日米同盟関係を頼りにした実力の発揮こそ、
日本が望むものであることを示している。「近年、日本も米国も勢力が衰えている。それに比べ、中国は飛躍的に
力を付けてきた。そのため、日本の米国のコントロール範囲内での防衛力の強化と言うことは両国の利害が一致
するところなのだ」と胡令遠氏は言う。
胡令遠氏は、年末に閣議決定される「新防衛大網」は日本の国防政策の修正のほんの始まりに過ぎないとの見方を
示している。中国が世界の強国になるであろう事は明らかである。国外で得られる利益が増加するにつれ、交易ルート
の確保のためにも海軍力の強化は至極当然の事なのだ。しかし、これは日本からしてみれば大きなプレッシャーとなる。
そのため、日本の防衛政策はやはり、中国に対抗できるだけの力を付ける事を重点に置かなければいけないと考えた
ようだ。とは言っても、これは中国と互角の力を付けるということではなく、「アジア・太平洋勢力の覇権を完全に中国に
握られない事」が目標であるようだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月22日