まるで賭博場、酒にたばこ…「大勝負なら数百万ウォン飛び交う」
壁に「現金取引発覚時は退場」
実際には業者黙認
カードや駒を使い、さまざまなゲームが楽しめるボードゲーム。2000年代初め、大学生の間でブームとなり、
こうしたゲームができる「ボードゲーム・カフェ」は中高生も出入りできる「健全な遊びの空間」とされてきた。
先月19日午後9時、ソウル市江南区狎鴎亭洞にある「ロデオ通り」のボードゲーム・カフェ。ドアを開け、中に
入るなり「カードをなさいますか?」と従業員が声をかけてきた。カフェの中では、十数人が「セブン・オーディ
(セブン・ポーカー)」と呼ばれるポーカーに夢中になっていた。テーブルの上にはカードと「1000」「5000」
「10000」と書かれているチップが積まれている。ボードゲームをしにくる客がいるかどうか尋ねると、従業員
は首をかしげた。このボードゲーム・カフェで2カ月ほど働いているという従業員は「週末に1−2グループが
来る以外は、全員がポーカーをすると考えていい」と答えた。ボードゲーム・カフェがギャンブル場、いわゆる
「ハウス」になっているのだ。
カフェには飲み物を入れておくことができるドリンクホルダーが付いた多角形や円形のポーカー用テーブルと、
カジノで人気のテキサス・ホールデム(Texas hold\'em)用テーブル8台が、隣のテーブルから1メートル以上
離して置かれていた。青少年も出入りできる時間帯だったが、カフェの中にはタバコの煙が立ちこめていた。
従業員はカードひとそろえ、チップが詰まったシルバーのアタッシェケース、メニューを差し出した。メニュー
にはビール5種類とつまみが載っている。先客のテーブルには、もうビール瓶が置いてあった。
カフェの壁には「現金取引発覚時は強制退場」と書かれた張り紙があったが、現金取引を阻止する方法はなか
った。店には従業員が一人いるだけで、各テーブルはカーテンで仕切られている。10人でゲームできる個室も
別途、用意されている。カーテンで仕切られたテーブルからは「今日も負けてばかりだなあ」「今カネがない
から明日送金するよ」などと、現金が行き来していることを思わせる言葉が絶えず聞こえてくる。トイレで
会った会社員(29)は「普通はカフェの外で精算するが、知らない人同士で同席した場合は、テーブル上で
現金が行き来する」と教えてくれた。
ロデオ通りにある別のボードゲーム・カフェ2店にも入ってみたが、健全なボードゲーム・カフェという以前の
姿はなかった。ボードゲーム・カフェ初期、客層の中心は学生たちだったが、今では20−30代の男性たちで
いっぱいだ。週に2−3回来るという会社員(31)は「大きな勝負なら数百万ウォン(100万ウォン=7万2000円)
が飛び交う。すったカネが惜しくて眠れず、徹夜で会社に直行したことも何回かある」と言った。また、「弘益
大学前や大学路にもポーカーができるボードゲーム・カフェが多い。わざわざ(公認カジノの)江原ランドまで
行く必要がない」と言った。
業者たちは、カフェ内で公然と行われているギャンブルを黙認している。ボードゲーム・ブームが下火になり
落ちた売り上げを、大金をつぎ込む客が埋めてくれるからだ。ボードゲーム・カフェの利用料は一人1時間で
2000ウォン(約140円)程度だが、ポーカーをする客は長時間居続け、酒やつまみを注文する。ボードゲーム・
カフェで売られているビール(1本5000−6000ウォン=約360−430円)や、軽食(カップめん4000ウォン=約290、
つまみ1万5000ウォン=約1080円)は相場より高かった。ボードゲーム・カフェを経営していたが、6カ月前に
商売替えしたという男性(40)は「ボードゲームの人気は初期に比べ落ち込んでいるので、ボードゲーム・カフェ
業者は賭博を黙認している」と語った。
ソク・ナムジュン記者
朝鮮日報 2010/11/07
http://www.chosunonline.com/news/20101107000014