つい先週、日本で起こった2つの出来事は、いい事と悪い事の両極端だった。
いい事は、約1000人で構成された「日本青年上海万博訪問団」が10月27日から中国を訪問したことである。
釣魚島船舶衝突事件で延期されていた中日民間交流活動が、万博閉幕前に輝かしく実現された。悪いことは、
先週末(10月23、24日)、日本国内で再び反中デモが勃発、参加者には若者の姿も多く見られたという。
若者の思想や心理状態はある意味、今後の中日両国関係の方向性を決定する。
戦後すでに60年以上が過ぎた。現在20歳前後の日本の「若者」は、戦後3世代目といえる。戦前、戦中及び
戦後に生まれた第1世代や第2世代と比べ、この世代は思想意識において質的に変化している。
(1)罪:遠ざかる罪悪感
その手を中国やアジアの人々の鮮血に染めたのは、少なくとも今の若者たちの祖父、曽祖父世代になる。今の
若者たちに2、3世代も遡ってそれを反省、謝罪させることは可能だろうか。
冷静かつ公平に論じて、日本人は「過去の戦争」に対し、すでに相当反省しており、更に今なお反省中である。
しかし、中日文化の違いは、それぞれの思想方法にも表れている。まず、日本人の歴史観が中国のそれとは全く
違う。中国は断代史観であるのに対して、日本は連続史観なのである。
歴史上中国では、二三百年に一度王朝交代が起っていた。新王朝は前王朝の「罪状」に対し、何ら責任を負わ
ない(心理的にも)。前王朝に罪状があったからこそ、自分たちがそれに取って代わったのだ。
しかし、日本では、伝説上の神武天皇(紀元前六七世紀)から数えるならば「万世一系」で、既に125代の天皇
が続いていることになる。「世代交代」はあったが「王朝交代」はこれまで一度も起きていない。
このような連続史観に、戦後の日本に漂った「一億総懺悔」論が加わって戦争責任追及に対する注意をそらした
こと、また進歩勢力の軍国主義への反発努力により、戦後数世代の人々は仕方なく過去の戦争に対して弁解
すると同時に、永遠に反省せざるを得なくなった。
だが、中日間においては、反省に対する立場が逆転しているだけでなく、その内包と外延、方法や結果等に対する
認識まで違う。
一世代前の日本人は確かに中国に対し申し訳ないことをしたと感じている。一部の人がどれだけその侵略行為を
合理化しても、心の中の「罪悪感」を抹消することはできない。1972年、中日国交正常化以降、日本は中国に
対し一連の援助を行ってきた。中国国内で、これらがめったに取り上げられないことに対し、日本は不満を持って
いるものの、いつも大きな主張へはつながらない。これは、その「罪悪感」によるものである。
しかし、時が移れば事情も変わる。今は飛行機やインターネットの世界的普及など、新しい時代に突入している。
筆者から見れば、欧米留学経験の有無に関わらず、現代日本の若者たちの頭の中での伝統的な歴史観と欧米
の現代思想の比率は、大きく変化した。
彼らにとって、一世代前に罪があるとしても、その罪を償ったり謝ったりするのは自分たちではない。祖父、曽祖父の
行為と自分に何の関係があるだろうか。また、欧米の所謂「自由」「平等」思想の影響で、国家間においても対等
に向き合うべきだという意識が高まっている。そして、中国人の心に根強く残る「歴史問題」も、彼らの目には、中国
はとかく「歴史問題」で日本を非難してくるのだというふうに映っている。
>>2-5あたりへ続く
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月5日
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2010-11/05/content_21283033.htm