北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記は29日、黒竜江省ハルビン市を訪問する予想外のコースで訪中日程
を継続した。金総書記の列車は前夜、中国側高官らの見送りを受け、吉林省の長春駅を出発したが、その後丸
一日近く所在が確認できなかった。
金総書記は、26日に吉林省吉林市で故・金日成(キム・イルソン)主席の母校の毓文中学、北山公園など抗日
運動の史跡地を訪問したのに続き、ハルビンでも金日成主席の革命史跡地を訪れたとされる。このため、今回
の訪問の目的が「金王朝」の革命史跡地訪問であることがうかがえる。このほか、ハルビンでは発達した機械
農法の現場も視察したもようだ。
■ハルビンの宿泊先も森の中
ハルビンを出発した金総書記一行は29日午前0時前後に、長春から北東に250キロ離れたハルビンに到着した。
宿泊先は中心部で外国のい国賓らが主に宿泊するホテルではなく、松花江に浮かぶ太陽島の国賓館だった。現
地消息筋によると、国賓館周辺には警官が10メートル間隔で配置され、厳重な警備が行われている。消息筋は
「国賓館は森に囲まれ、外部とは完全に遮断されている場所だ」と説明した。金総書記は吉林や長春でも外部
から接近が困難な宿泊先を選んで滞在するなど、警備に細心の注意を払っているもようだ。
ハルビンではハルビン理工大学、航空機械工業団地、農業機械博覧会などを訪問したほか、金日成主席に関する
史跡地にも立ち寄った。ハルビンは金日成主席の同志の金赫(キム・ヒョク)がパルチザン運動中に日本の警察
当局に逮捕され死亡した場所であり、金日成主席も生前に訪れている。金総書記はハルビン在住の金赫の子孫
とも会ったもようだ。夕方には黒竜江省の最高指導部が主催する夕食会に出席した。
一部では金総書記が帰国せず、急きょ黒竜江省を訪問したのは、帰国ルートにあたる北朝鮮国内の鉄道で豪雨
被害が出たためとの見方も出ている。
■長春のホテル従業員「胡主席来た」
27日に金総書記が胡錦濤国家主席と首脳会談を行ったとされる長春市の南湖賓館が29日から一般客の受け入れ
を再開した。
本館と第6棟の玄関の会談には、儀典用の赤いカーペットが敷かれており、そこで首脳会談が行われた可能性が
高い。ある従業員は「直接見てはいないが、胡主席が来たと聞いた」と話した。首脳会談翌日の28日午前9時5分
ごろには、南湖賓館の正門から20台の車列と40台の車列が同時に出て行く様子が目撃された。北京の消息筋は
「両首脳は同じホテルに宿泊した。こういう例は非常に珍しい」と述べた。
■けん引車に載せられたリムジン
28日午後8時ごろ、長春市中心部の長春駅には、中国公安当局がけん引トラックでベンツ製リムジンを持ち込
んだ。金総書記一行の乗用車本隊が到着する1時間ほど前だった。5分後にリムジンを下ろしたけん引トラック
は走り去った。リムジンは北京ナンバーで、金総書記が吉林と長春で使用した防弾車だ。
この車両は同日昼に突然故障を起こし、金総書記は午後に予定していた中国第一汽車集団の工場訪問を取りや
めたとされる。現地消息筋は「防弾車が故障し、代用車が準備しようとしたが、結局訪問を取りやめたようだ」
と語った。
長春(中国吉林省)=崔有植(チェ・ユシク)特派員
朝鮮日報 2010/08/30
http://www.chosunonline.com/news/20100830000016 http://www.chosunonline.com/news/20100830000017