★絶妙だった中国通貨弾力化‐2カ月で0.4%しか上昇せず
6月19日、中国は自国通貨人民元について、ドル相場に連動するのを幾分やめ、
より「弾力化」した方法で浮動させると鳴り物入りで発表した。
中国政府はその際、大きな通貨変動を予想すべきでないと釘を刺していたが、
人民元は主要国通貨に対して大幅に上昇するだろうと世界中が期待したものだ。
あれから2カ月経った今日、大幅上昇は実現しなかった。
人民元は対ドルでせいぜい1%前後上昇しただけで、
現在、弾力化発表前日とほぼ同一のレートで推移している。
(全体として、人民元はドルに対して約0.4%の上昇にとどまっている。)
この間、ドルはユーロと円に対して下落した。
これは人民元もユーロと円に対して下落したことを意味する。
その結果、中国の輸出品は一段と競争力が増した。
(人民元は過去2カ月間で対ユーロで3%下落、対円で6.4%下落した。)
国際通貨基金(IMF)の元中国デスク責任者で米コーネル大学教授のエスワー・プラサド氏は、
中国の人民元をめぐる措置は、この国がいかに抜け目なかったかを示すと語る。
同氏は「振り返ってみれば、ドルがピークに達したのとほぼ同時期に
中国政府が対ドル弾力化を発表したのは、絶妙だった」と言う。
短期的には、それは恐らく正しいだろう。しかし長期的には、中国の通貨政策は米国、日本、欧州、
そして中国輸出製品と競争している途上国諸国の間で保護貿易主義的な風潮を助長するはずだ。
米国の議会が11月の中間選挙を控えて、中国の為替政策を標的にした懲罰的な措置を
通過させる時間が十分にあるかどうかは未知数だ。しかし民主党は今年秋、製造業界を救済する法案
を通過させようと計画している。それは反中国法案の拠り所となる可能性もある。
プラサド氏は、中国は人民元を対ドルで1〜2%急激に上昇させることで事態を収拾できると
恐らく考えているのではないかとみている。
「中国は、自分たちに打撃になる政治的な逆風が吹き始めたとみれば、人民元をかなり上昇させるだろう。
そうすれば対中圧力はなくなると踏んでいる」というのだ。
記者: Bob Davis
ソース ウォールストリートジャーナル 2010年 8月 24日 11:22
http://jp.wsj.com/World/China/node_93927