調査を拒否した元社員への過料徴収の取り消し命じる
企業内部のオンラインシステムまで閲覧しようとした公正取引委員会(公取委)に対し、裁判所がストップを
掛けた。水原地裁民事4部(白康鎮〈ペク・ガンジン〉裁判長)は15日、公取委が下請けに関する実態調査を
行った際、会社内部のオンラインシステムの閲覧を拒否したという理由で、2000 万ウォン(現在のレートで
約143万円、以下同じ)の過料を科されたサムスン電子の元社員Lさん(52)が起こしていた訴訟で、1審の判決を
破棄し、過料の徴収を取り消すよう命じる判決を言い渡した。
同地裁によると、公取委は2005年6月、サムスン電子の下請け業者との取り引きの実態について確認するため、
現場調査を実施した際、オンラインシステムの閲覧の要請を拒否したとして、同社の無線事業部に所属していた
Lさんに対し、2000万ウォンの過料を科した。
Lさんが、会社内部の機密保持や、個人情報の保護を理由に、オンラインシステムの閲覧を拒否したのに対し、
公取委は「必要がある場合、公取委の職員は事業所へ立ち入り、帳簿や書類、オンラインシステム、録音・画像
資料などの調査を行うことができ、調査を拒否・妨害・忌避した人物に対しては、 3000万ウォン(約215万円)
以下の過料を科せられる」という関連法の規定に基づき、過料を科したのだ。
これに対し、Lさんは異議を申し立てたが、1審は公取委の決定の通り、過料2000万ウォンを支払うよう命じた。
ところが、控訴審は異なる判断を示した。
控訴審は、「公取委は『調査官には秘密を守る義務があり、下請け業者との違法な取引の有無について確認する
ため、オンラインシステムの閲覧をしようとしたものであり、正当な調査だ』と主張したが、憲法では『押収・捜索などを
行う際には、裁判所が発行する令状を提示しなければならない』と規定されている。オンラインシステムの閲覧は、
調査というよりも、令状が必要な捜索に近い」と指摘した。
その上で、「公取委の企業に対する調査は、弊害を最小限にとどめるよう、厳格に行う必要がある。見る必要がある
資料があれば、資料の提出を要求する権利はあるが、オンラインシステムを閲覧する権利まで保障されているわけでは
ない」と付け加えた。
裁判所の関係者は、「公取委による過料の徴収について、上級審が一部の減額を命じたことはあるが、すべて取り
消すよう命じたケースは過去に例がないという点で、今回の決定は企業の立場をこれまで以上に反映したものといえる」
と話した。
鄭智燮(チョン・ジソプ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版: 2010/08/16 11:48:56
http://www.chosunonline.com/news/20100816000035