【シンガポール=宮野弘之】ミャンマーを訪問中の朴宜春・北朝鮮外相は30日、ミャンマー軍事政権幹部と
同国の首都ネピドーで会談した。両国間の武器取引に加え、核開発協力疑惑が指摘される中、今後も関係を
維持、強化していくことを確認したとみられる。ミャンマーは直前にインドから経済支援を獲得、中国との関係も
強めている。ミャンマーは一連の外交で米国を牽制し、国際的な制裁圧力をかわす構えのようだ。
北朝鮮外相による公式訪問は、1983年にラングーン(現ヤンゴン)で起きた北朝鮮工作員による爆弾テロ
事件以来のことだ。両国は翌84年に国交を断絶したが、ミャンマー軍政トップ、タン・シュエ国家平和発展
評議会(SPDC)議長が権力を握った90年代以降、ひそかに交流を復活し、2007年には国交を回復した。
両国間では、北朝鮮から武器が輸出される一方、ミャンマーからはコメなどの食糧が送り出されている。
今年4月にも、小型ミサイル発射装置などの兵器を満載した北朝鮮の貨物船がミャンマー最大都市、ヤンゴン
近郊の港に入港している。軍政当局は、積み荷はセメントで、帰りにコメを積んでいくと釈明した。
だが、クリントン米国務長官は今月中旬にベトナムの首都ハノイで行った記者会見で、「武器を積んだ北朝鮮
船が入港したのは知っている」と非難した。北朝鮮からミャンマーへは09年にも、武器などを載せたとみられる
貨物船「カンナム号」が向かったことがある。
ミャンマーの核開発に対する北朝鮮の協力をめぐっては、6月に反軍政メディアの「民主ビルマの声」が核施設を
収めたとされる写真多数と亡命者の証言を発表。ミャンマーが国内数カ所の施設で核開発を進めているとの報道
もあった。
ミャンマーは、07年にロシアと原子力技術協力協定を結んだことを挙げて、同国の協力の下で、原子力の
平和利用を研究していると説明し、北朝鮮からの核技術協力を否定している。
ミャンマーは08年11月には北朝鮮との間で、政府関係者のビザを不要とするなど、交流拡大に向けた準備を
進めてきた。今回の朴外相訪問は、ミャンマーが米国の反発も見込んだうえで対北朝鮮関係を今後も強化する
との姿勢を、内外に示したものといえそうだ。
朴外相は、ミャンマーには1日まで滞在、その後、インドネシアの首都ジャカルタで開かれる、国連ミレニアム開発
目標に関する特別閣僚会議に出席する。
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/100730/asi1007302234008-n1.htm