2010年7月26日、中国衛生部は食品安全の新国家基準として「食塩中のヨード含有量(意見稿)」を公開、
食塩中のヨード含有量が高すぎると健康に悪影響をもたらす可能性が高いとして、含有量の上限を引き下げる
考えを明らかにした。人民網の27日付の報道。
衛生部によれば、中国国内で流通する食塩は総じてヨード含有量がやや高いものの、全体としては許容できる
範囲にあるとされる。しかし、安徽省など 5省では基準値を上回るヨードが食塩に含まれているという。中国では
過去すでに3回にわたり、食塩中のヨード含有量の上限を引き下げている。(注:ヨード摂取量が少なすぎると
ヨード欠乏症を引き起こす。中国の一部地域はその土壌・風土や食習慣の影響により、十分なヨードを摂取
できない住民がおり、そのため、94年より食塩中にヨウ化カリウムを添加する政策をとっている)
今回の意見稿では、食塩中に含まれるヨード含有量が現行の20〜60mg/kgから20〜30mg/kgへと上限が
引き下げられているほか、各地方の実測データからヨード含有量の平均水準を選定し、食塩中のヨード含有量を
上下30%の範囲で許容することなどの変更が行われている。
しかし、ヨード含有量の上限引き下げに疑問の声もある。ヨウ素の摂取機会が少ない食生活では甲状腺異常が
引き起こされやすく、含有量基準を上回るとされる5省でも基準値をわずかに上回る程度に過ぎないという指摘が
ある。また、ヨウ素は海草などに多く含まれるが、中国東南部の沿海地区では海藻を食べる習慣があるため、
逆にヨードを含有した食塩ではヨウ素の摂取過多になってしまい、それはそれで健康への悪影響が懸念される
とし、一部ではヨード無添加の食塩解禁を求める声もある。
このほどの政府発表は、国内誌・南部週刊が先日、ヨード添加塩による健康被害を特集記事で大きく報道
したことを受けたもの。
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=44123&type=1