中国政府・環境保護部はこのほど、同国の環境影響評価機構の半数近くに問題があったとする
調査リポートを発表した。工場建設やプロジェクト実施で、
環境面から事前に可否を判断する仕組みが、きちんと機能していないことが分かった。
環境部の発表を「氷山の一角」と指摘する専門家もいる。チャイナネットが報じた。
環境保護部によると、中国全国の環境影響評価機構70カ所を調査したところ、
全体の43%に相当する30カ所で、技術上のレベルや管理体制などの問題があった。
各機構が作成した環境影響評価報告書282件を調べたところ、
全体の17%に相当する48件が「低レベル」だったという。
中国では各地域の共産党委員会や政府が、他地域に対して極めて強いライバル意識を持って
経済開発に取り組んでいる。そのため、環境影響評価機構なども、開発に対して「待った」と
言いにくいケースが多いという。
環境評価の問題に3年間たずさわってきた馬雲氏によると、環境評価影響機構の約6割に問題がある。
虚偽の報告、管理のずさんさ、評価結果の改竄(かいざん)などがあるという。
馬氏は、環境部が環境評価機構を調査して結果を公開したことには「拍手を送りたい」と評価した上で、
明るみに出た問題点は「氷山の一角」との見方を示した。
環境部はリポートで、全国の環境影響評価機構の専門職員のうち40人を「規則違反があった」
と実名を挙げて批判した。◆調査対象の内容を知らずに評価した◆現地に足を運んで調査しなかった
◆調査能力がなかった――などの問題が発覚したという。
環境部は問題があった環境影響調査機構4カ所の資格を剥奪、26カ所に対して期限つきで改善を命じた。
◆解説◆
客観的にみて、環境保護部はかなり積極的に、中国の環境問題に取り組んできたといえる。
2004年には、潘岳副局長が「現地の政府指導者が目先の経済発展のみを追い求め、環境を犠牲にしてきた」、
「中国は世界に冠たるごみ捨て場になるだろう」など、当時としては相当に過激な発言をするなど、
環境問題が危機的状況にあることを積極的に主張。環境負荷が大きい火力発電所の「強制爆破」など、
環境保護部が主導した政策が結実した例も多い。
しかし、中国では中央政府は政策の根幹を定めるだけで、具体的施策は地方政府にまかされている。
環境問題にかぎらず、中央政府の方針が行きわたらない場合が多く、
虚偽や不正が横行する大きな理由に「地方エゴ」があるとされる。(編集担当:如月隼人)
ソース サーチナ2010/07/02(金) 12:28
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0702&f=national_0702_039.shtml