中国株式相場は11日に過去9カ月で2回目の弱気相場に入った。
しかし、中国国内の個人投資家の多くは、株式市場から逃げ出すそぶりを見せていない。
上海で会計士を務めるパン・ウェイティンさん(27)は、自己資金の預け先としては株式以外によい場所はないと話す。
パンさんは、不動産価格が4月に過去最大の上昇率を記録し、3軒目の住宅取得向け融資が禁止されたのを受け、
アパート購入計画を見送った。銀行に預けている40万元(約550万円)の利息はインフレ加速で目減りしつつある。
政府規制で彼女にとって投資の選択肢は不動産か国内株に限られている。
パンさんによると、「当面は株式市場が最高の選択肢。銀行員でさえ預金を増やさないように勧めた」という。
英不動産ブローカー、ナイト・フランクの試算では、投機的バブルで不動産価格は昨年10〜12月期に25%上昇した。
政府指導部は住宅ローン規制を通じてバブルのガス抜きを目指しているため、
世界最高の貯蓄率を誇る中国国民にとって資金の預け先は限られる。
オランダのロベコ・グループや豪マッコーリー・グループは下期に中国株が反発すると予想し、
JPモルガン・チェースは1年で4割強反発するとみている。
ロベコのシニア・ファンドマネジャー、ビクトリア・ミオ氏(香港在勤)は
「どの資産クラスへの投資が一番ましか、という話になってきている。
国内マネーの移動が起きているが、実質金利のマイナスが数カ月続けば、
この傾向には拍車がかかるだろう」との見方を示した。
中国の上場証券会社で最大の中信証券によれば、09年の主要35都市の住宅取引の約3分の1
に相当する最大590億ドル(約5兆4964億円)が今年、不動産市場から株式市場にシフトする可能性がある。
米シティグループや仏BNPパリバによると、中国の政策当局が融資抑制を目指して
過去3カ月で3回の預金準備率引き上げを実施したことから、住宅価格は今年、2割下落する見通しだ。
一方、企業と世帯で合計7兆2000億ドルに上る中国の貯蓄残高はインフレ加速に浸食されつつある。
4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.8%と、貯蓄残高の増加率(同2.25%)を上回った。
ブルームバーグが11日に調査したエコノミスト18人の予想中央値によると、
インフレ率は年内に3.4%にまで加速する見通しとなっている。
中国銀行のアナリスト、シ・レイ氏(北京在勤)は「国内投資家は依然として
短期的な不動産相場に慎重な姿勢を見せている。国内株が投資先の第1候補となるだろう。
定期預金は最後の選択肢だ」と話した。(ブルームバーグ Chua Kong Ho、Zhang Shidong)
ソース さんけいびず 2010.5.14 05:00
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100514/mcb1005140505022-n1.htm