>>1のつづき
| 8つの手段と32の指標
エコシティは「環境の健全化」「経済の持続的な発展」「社会と調和した進歩」の3つを目標とする。そして、「良好な環境品質」「資源の合理的利用」「環境技術の活用」
「豊かな住民生活」「高効率の産業循環」「サービス体制の充実」「豊かな生活」「管理機構の整備」という8つの実現手段を定めている。
そのために32の指標がある。それぞれの指標には「1人当たりのCO2排出量は年間4t」「再生可能エネルギーが占める割合は20%以上」「都市生活ゴミの無害化処理率は70%
以上」「汚水再生利用率は30%以上」といった具体的な数値が並ぶ。地域の特性や課題の解決に沿った都市の計画に合わせて指標を選択し、その実現を目指す。
ただし、一口にエコシティといっても、モデル都市の取り組みは千差万別だ(下の表)。新たに開発するのは天津や曹妃甸、北川、トルファンの4都市で、それ以外は再開発
か、深?のような新開発と再開発の融合型になる。都市の規模も北川の人口7万人から、保定の1100万人と非常に幅広い。
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20100506/103760/?SS=imgview&FD=1422774646 ●エコシティの13のモデル都市 出所/中国都市科学研究会・李迅秘書長
多くの都市で共通するのは太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの導入と、汚水・ゴミ処理などの取り組み。炭鉱がある淮南は発電などへの天然ガスの大規模
利用と、石炭採掘による地盤沈下地区の環境回復を掲げる。
中国がエコシティの建設を急ぐのは、経済成長による急激な都市化への危機感が背景にある。
毎年1500万人以上が都市部に流入するといわれ、北京や上海ではマンションなどの不動産開発が活況を呈している。同時に、生活レベルの向上で、エネルギー使用量やCO2
排出量、ゴミ処理量は増大している。住宅やビルなど建物の省エネ対策を進めているものの、地方での不徹底や手抜き工事が依然みられるという。
そこで、住宅・ビル単体の規制から、コミュニティや都市全体の環境負荷の低減に対象を拡大する。
まず、中央政府の主導でモデル都市を造り、これを参考に地方政府がエコシティを開発することで、環境配慮型の都市を全国に展開していく狙いである