【国内】【きのうきょう】チョンさん[04/21]

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1戸締りφ ★
【きのうきょう】チョンさん
埼玉県所沢市 中村誠一(59) 日本語講師

 2月下旬、82歳の父が天国へ旅立った。長い間教職を務め、定年後は民生委員や老人大学で講師をし、
悠々自適の生活を送っていた。

 「医者から半年と言われている」と弟から連絡が入り、様子を見に帰省したら、病院に着く1時間ほど前、
父が旅立ったと知らされて呆然(ぼうぜん)とした。が、重苦しい雰囲気にはならず、和やかに父の思い出
話を語り合った。

 定年後、日本語教師をしている私は、翌日のレッスン予定を思いだし、韓国人のチョンさんに、父が亡く
なり故郷に帰っていることを告げた。チョンさんはしばらく沈黙していたが、「先生、私は日本語があまり
うまくありません。自分が知っている日本語で話します。大変残念です。来週会いたいです」と。私の目
から一気に涙があふれた。多くの教え子から慕われた父を思いだし、今、先生と呼ばれている自分は、
父の足元にも及ばない小さな存在だと痛感した。チョンさん、ありがとう。おかげで新しい目標ができた。

産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/100421/trd1004210726000-n1.htm