4月10日、日本の安全保障にとっての由々しき事態が発生した。潜水艦2隻を含む計10隻の中国海軍の大艦隊が沖縄本島と宮古島の間の公海を堂々と通過したのである。
中国軍の機関紙の『解放軍報』は今回の動きを艦隊による「実戦訓練」だと位置づけているから、日本領土の沖縄とその周辺海域はすでに中国海軍の「実戦」の対象だと想定されていることが明らかである。
実際、自衛隊統合幕僚監部によると、件の中国艦隊が9日まで東シナ海で訓練を行った際、艦載ヘリが監視活動中の海自の護衛艦の約90メートルまで接近した。それはどう考えても、日本にたいする中国軍の挑発行為であろう。
私は4月1日の産經新聞の紙面で、中国軍は今、「軍事闘争への準備に力を入れよう」と叫んで戦争の準備を大いに進めていることを警告したが、今回の出来事もやはり、中国軍がこのような準備を確実に行っていることの証拠である。
しかも、わが日本こそが、中国軍による戦争準備の仮想敵の一つであることは明々白々だ。
本来なら、日本の国家と国民は、この事件の発生を国家安全上の危機到来だと捉えて多いに警戒しなければならないところだが、この国の政治家たちはいつも呑気なものである。
鳩山政権の平野官房長官は「公海での航海だから」といって問題視しない考えを示し、岡田外相はコメントすることすら避けている。勿論、かの友愛の日本国首相に至っては、この事態を何とも思わないような悠然たる風情である。
国家の安全保障をそこまで蔑ろにするそれらの政治家たちの所為を見て、一国民の私は憤りさえ感じてしまったが、その時、目に飛んできたもう一つのニュースは、私の度肝を抜くのに十分であった。
4月13日、例の中国艦隊の示威行動のわずか3日後、日本の溝畑宏観光庁長官は訪問中の北京市内で13日に行った記者会見で、
来月から始まる上海万博 (上海国際博覧会) では、主催側が見込んでいる海外からの見学客を350万人のうち、日本からは約3分の1の延べ100万人程度が訪れる見通しを示した。こうした上で彼は、「上海万博の最大の応援団は日本」とも述べた。
おそらくこの溝畑長官の予測した通り、上海万博が始まるや否や、わが日本国から大勢の見学客が上海に押し寄せてその「最大の応援団」となっていくのであろう。何しろ、友愛の鳩山首相も6月中の上海入りを決めていて、万博の「応援」に赴く予定である。
しかし、鳩山首相を含めて、「最大の応援団」となる日本人の一人一人は果たして、中国の軍がすでにこの日本国をダーケットに想定して「軍事闘争の準備」を開始していることを意識しているのだろうか。
彼らは果たして、上海万博の主催国はすなわち日本にとっての最大の潜在的敵国であり、自分たちが上海へ押し寄せていくその行為は結果的には、この中国の国威発揚への応援になることを意識しているだろうか。
自国の領海が中国軍による示威と挑発の対象となっているのに、彼らは果たして満面春風にして上海万博を楽しんでくるのであろうか。
いつものことではあるが、「敵に塩を送る」ような愚挙を繰り返しているわが日本国の政治家や国民の国家意識の無さを見て、「新参者」の私は摩訶不思議に思いながらも、目の前が真っ暗になる思いもするのである。
■ソース
「敵に塩を送る」わが日本国民の愚かさ
http://mp-j.jp/modules/d3blog/details.php?bid=80 ■関連
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