【ワシントン=古谷浩一、村山祐介】オバマ米大統領は12日、核保安サミット出席のため訪米した
中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と会談した。両首脳はイランの核開発疑惑をめぐり、
国連安全保障理事会の追加制裁決議も視野に入れ、協力を進めることで一致した。
オバマ大統領は対ドル相場での人民元の切り上げを求め、胡主席は具体的な言及は避けつつも、
人民元改革を実施する意欲を表明した。
両首脳の会談は昨年11月のオバマ大統領の訪中以来。
今年1月以降、米国の台湾への武器売却問題やチベット問題などで揺れた米中関係だが、
会談は両国が再び協調路線に進むことを示した形だ。
ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のベーダー・アジア上級部長が会談後の電話会見で
明らかにしたところでは、両首脳は「イランは国際的な核不拡散の義務を果たさなければならない」
との認識で一致。安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国による対イラン追加制裁の協議で、
両首脳が「制裁決議について作業を進めるように双方が(自国の)代表団に指示することで合意した」という。
中国は追加制裁に消極的な姿勢を示してきたが、ベーダー氏は中国側が
「米国とともに取り組む用意があるとはっきり示した」と述べた。
中国外務省の馬朝旭報道局長によると、胡主席も「(イラン核問題の)対話と協議を通じた問題解決を
前向きに求める」と強調。そのうえで「中国と米国の総体的な目標は一致したものだ。
中国は、米国とほかの国々や国連との意思疎通と協調を保ちたい」と語ったという。
人民元問題については、オバマ大統領が「中国が、より市場指向の為替相場に移行することが、
持続可能でバランスのとれた世界経済の回復に重要だ」として切り上げを求めた。
中国外務省によると、胡主席は「外部の圧力で人民元改革を行うことはありえない」とする一方、
内容には触れなかったが、「中国が進める人民元為替制度改革の方向性を堅持する」とした。
胡主席は台湾問題やチベット問題について「中国の核心的な利益にかかわる問題で、
中米関係の妨げにならないよう慎重に対応してほしい」と要請。
オバマ大統領は「米国は『一つの中国』政策を堅持し、中国の主権と領土保全を尊重する」と表明した。
ソース 朝日新聞 2010年4月13日12時9分
http://www.asahi.com/international/update/0413/TKY201004130232.html