ルポ 新「保守」 (上)
●右翼超える「市民の会」
警官隊に制止されながら、100人を超す男女が、日の丸を手に叫び声をあげる。
「日本から出て行け」「ゴキブリ」「キムチ」
各国の外交施設が集まる東京都港区。2月21日、韓国大使館領事部や在日本大韓民国民団の
入るビルの前で、「行動する保守」を名乗る人々が、インターネットで呼びかけた街頭デモがあった。
この翌日は、日本と韓国が領有権を争う竹島(韓国名・独島)について、世論を喚起しようと島根県
が定めた記念日。「軍事力を含めた手段で竹島を奪還せよ」。横断幕に太文字の主張が躍る。
「攘夷」。参加者が持参した旗や看板にも、いかつい言葉が並ぶ。新聞にそのまま書けない、在日
韓国・朝鮮人を犯罪者扱いする表現もある。
彼らが「反日」と見なすものすべてが非難の対象だ。看板には民主党や中国、北朝鮮を批判する
文言も。取材する記者にもヤジが飛ぶ。デモの後、人々は近くのオーストラリア大使館に移動して
拳を上げた。「(捕鯨問題で)日本を侮辱する白人と開戦するぞ」
バス停に立ち、遠巻きにデモ隊を眺めていた一般の女性が記者に聞いてきた。
「あの人たちって右翼なの?」
彼らは「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などここ数年に結成された保守系市民団体の
集合体だ。黒塗りの街宣車や特攻服に象徴される、従来の「右翼」と呼ばれる政治団体とは異なる。
参加者に声をかけた。デモのために日の丸を買った中野区の女子大生(19)、「報道は偏っている」
と話す横浜市青葉区の外食チェーンの男性管理職(49)、拉致問題の「救う会」に入っていたという
茨城県つくば市の化学会社の男性社員(36)……。口々に「周辺国に、日本人はなめられている」
などと答える。「これまでは『愛国運動』と言えば右翼。私たち普通の市民が参加できる運動がやっと
できた」とも。
参加団体の中で最大の在特会は2006年末に結成された。ネット上の登録会員はこの1年でほぼ
倍増し8千人になり、3月から全国に23支部を置いた。この日、名古屋や福岡でも、外国人参政権
反対などをテーマに街宣を行った。
特に関西で活動が先鋭化する。「キムチ臭い」。昨年12月、日本の小学校にあたる京都の朝鮮
初級学校前に集まり拡声機で騒いだ。学校が隣の公園を運動場代わりに使っていることに対し、
朝礼台やスピーカーを公園から撤去する実力行使に出て、互いに刑事告発する事態になっている。
京都弁護士会は、在特会側の行為を「公園使用の批判を超え、差別を助長する嫌がらせ」と非難
する声明を発表。右翼団体「一水会」顧問の鈴木邦男さん(66)は2月発売の著書で、彼らの活動
を「右翼以上に過激」「右翼は乗り越えられた」と評した。
(
>>2に続く)
ソース:朝日新聞 2010年03月15日
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001003150010 「行動する保守」などが呼びかけたデモ行進。女性を先頭に立て、在日本大韓民国民団の本部前
まで歩いた=2月21日午後、東京都港区、福留庸友撮影
http://mytown.asahi.com/aichi/k_img_render.php?k_id=24000001003150010&o_id=9028&type=kiji ●有志によるキャプチャ画像
http://h.pic.to/12btoj 前スレ
【在特会】 「近所に暮らす普通の人だと思うと怖い」 〜「右翼以上に過激」外国人排斥を唱え勢いを増す市民団体★6 [03/15]
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1268703534/ ★1がたった時間:2010/03/15(月) 18:59:13
(
>>1の続き)
東京都港区のデモが終わった夕方、参加者は、日の丸や段ボール製の看板をカバンにしまい、
地下鉄に乗って家路についた。前橋市の男性行政書士(54)は家族に活動を「差別的」と非難されて
いるという。名刺をくれた後、「話を聞いてくれてありがとう」と頭を下げて、立ち去った。
罵声を浴びた民団では、在日本大韓民国青年会の会合が開かれていた。在日3世の金宗沫前会長
(33)は「こっそりとした差別はあっても、憎しみを直接ぶつける市民デモなんて以前はなかった」と
戸惑う。「興奮したサッカーのサポーターが騒いでいる感じ。近所に暮らす、普通の人だと思うと怖い」
民族主義的な主張や外国人の排斥を、公然と唱える新たな保守団体が現れ、勢いを増す。
どんな人々なのか。(西本秀)
【同志社大の板垣竜太准教授(朝鮮近現代史)の話】
在特会の主張は『マンガ嫌韓流』や類書がベースだ。誇張や事実のつまみ食いで、朝鮮半島や
在日の人々を批判し、植民地支配を正当化する主張は、今やネットに蔓延する。「韓国併合」から
100年たっても、日本社会の下地で朝鮮人蔑視が続く。
さらに拉致問題で北朝鮮批判があふれ、関係ない在日への攻撃を黙認する雰囲気が広がる。
フランスでは移民排斥を唱える極右に、市民団体が「私の友人に手を出すな」と呼びかけて対抗
した。在特会だけが問題ではない。日本が、多様性に開かれた社会になれるか問われている。
(終わり)